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ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

検証・第2次ウルトラブーム タロウ タロウ タロウ ウルトラマンT(タロウ)

1999年

ウルトラマン ナンバー6!

 第一期シリーズに比べて低い評価に甘んじてきた第二期シリーズを真っ当に評価しようというタツミムックによる「検証・第2次ウルトラブーム」シリーズの1冊。何が素晴らしいってタイトルのセンスが素晴らしい。本屋の棚から取り出すときに思わず口ずさんでしまう。他に『帰ってきた帰ってきたウルトラマン』『僕らのウルトラマンA』『心にウルトラマンレオ』も出ているけれど、タイトルの秀逸さでは群を抜いています(レオ本のタイトルが、どこから採られたのかが分からないのだが……)。とにかく、これだけで「買ってやる!」と思わなければ男じゃないよ。うちの母親は、いまだに「泣き虫タロウ」と呼ぶし、世間にも、そういう見方が多いようだけれど、母だの父だの兄弟だのに囲まれた末っ子(当時)のイメージが強いのだろうか。しかし、この本を読めば、それがかなり偏った見方だということが分かります。

 いやぁ、それにしても凄いわ、タロウ。あの戦いのシーンで必ず流れるメロオケ(オルガンの音色が素晴らしい!)等、シリーズで唯一、日暮雅信が手掛けた独特の音楽といい、極彩色の派手で強烈無比なヴィジュアルといい、狂っているとしか言いようがない。ZATの隊員服なんて派手を通り越して、薬でラリりながら描いたようなデザインだし(ウルトラシリーズの隊員服については、出演者が必ず「恥ずかしかった」と言うものだが、これを来ていた名古屋章とか東野孝彦は、どんな気持ちだったのだろう?)、戦闘メカなんて頭のネジの狂った小学生が、50人がかりで落書きしたような格好しているし、どこから見ても、真面目に地球の平和を守ろうとしている組織の装備とは思えない。怪獣にしたところが、海象怪獣デッパラス、笛吹き怪獣オカリヤンに始まって、食いしん坊怪獣モットクレロン、酔っぱらい怪獣ベロン、泥棒怪獣ドロボンと、捻りも何もないストレートなネーミングに、ただの閻魔大王で、ダメ押しに腹に「大王」と漢字で書いてあるえんま怪獣エンマーゴ、うす以外の何物でもない姿で、頭で餅をつかれるうす怪獣モチロン、二代目『サインはV』の坂口良子とバレーボールに興じる球好き怪獣ガラキングと、デザインも行動も無茶苦茶な奴らが続々登場。そりゃあ成田亨も怒るよね(成田はウルトラの母の乳とか、タロウの角が許せなかったらしい。「宇宙時代の角はこんな風だ!と描いてみせた「宇輪」は有名)。しかし、こういう問答無用、天下御免の面白さこそ、お子様のストライクゾーンにジャストミートなわけで、今でも根強い人気を誇る理由だと思われるのです。

 後に、第二期シリーズよりも低い評価、と言うよりも完全無視に近い扱いを受けている『ウルトラマン80』を「検証・ウルトラシリ-ズ」として取り上げ、『君はウルトラマン80を愛しているか』を出したタツミムックは偉い!この勢いで、ぜひ『ウルトラマンメビウス』の研究本も出していただいて、M78星雲シリーズの締めくくりとしてほしいと思うのだけれど、サコミズ隊長役の田中実のインタビューは読めないのだなぁと思うと涙が一粒こぼれてしまうのでありました。


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