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ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

来るべき世界

手塚治虫  1951年

ラストのヒゲオヤジに驚愕

 日本の科学者・山田野博士は、核実験場の島で未知の高等生物を発見し、捕獲する。山田野は、これは人類の危機に対する警告であると学会で報告するが、鋭く対立するスター国(アメリカって書けよ)、ウラン連邦(ソ連って書けよ)という2つの超大国は、メンツを張り合うばかりで、それに耳を傾けようとはしなかった。やがて、この両国は些細なことから全面戦争に突入し、両国と日本の少年少女はそれぞれ数奇な運命に巻き込まれていく。一方、山田野の連れ帰った高等生物は「新人類フウムーン」と呼ばれる知的生命体であり、彼らはガス星雲の接近による地上の全滅を察知して、ある計画を立てていた。核実験により世界の自然が狂っているうえに、宇宙からやってくる暗黒ガスで地球もあと444日で死の星になってしまう!果たして人類の運命は?

  日本テレビの24時間テレビでやった『フウムーン』の原作です。でも、アニメはあんまり面白かった記憶がない。24時間テレビの手塚アニメと言えば、やっぱり『海底超特急マリンエキスプレス』が一番面白かったと思うなぁ。手塚キャラ総出演で、あれこそスターシステムのなせる技だなぁ、って、ちょっとマニアックなことを言ってしまいました。24時間テレビの製作条件というのは地獄のように最低だったらしく、そのせいか、あのアニメ枠は今ではなくなってしまいましたね。て言うか、24時間テレビ自体に飽きているぞ国民は。ついでに鳥人間コンテストにも飽きているぞ。それはさておき、もぉ「愛は地球を救う」でもないよなぁ。今でもいるのかなぁ、広口瓶に1円玉貯めている人って。貯めるのはいいけれど、重いんだから両替して持っていったらいいのに、とか思う私はチャリティーに参加する資格はないのかしら。チャリティーに関しては、その昔、宮城まり子に裏切られた経験があるので、懐疑的にしか見られないのですが、それは、また別の話。

 さて、これは『ロストワールド』『メトロポリス』と並んで、手塚治虫の「初期SF3部作」と呼ばれる作品の一つである。当時の東西冷戦を背景に、人類の存亡をめぐる大河ドラマが展開された傑作。初期作品だけあって絵は下手だ。でもストーリーが読ませるのなんのって、さすが手塚作品のストーリー性の高さというものを、はっきりと感じ取ることのできる傑作なのである。ラストのヒゲオヤジのセリフなんて、書こうと思っても書けないぞ、普通。やっぱり手塚はアニメよりマンガだよね。それと、買うなら角川文庫版にしましょう。装丁が素晴らしい。レトロでモダン。担当したのは水口克夫という人である。バザールでござーるを手掛けた人らしいです。


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