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ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ロボット刑事

石森章太郎  1973年

事件のホシは闇夜に消えたぁ♪

 この本こそ私の宝物。なんとサイン入りである。今はなき京都河原町の駸々堂京宝店で『マンガ日本の歴史』(だったと思う)刊行記念サイン会が行われたのであります。実は京都は文化的にはド田舎もいいところで、有名作家のサイン会なんてまず催されることなんてないのであります。おまけに引っ込み思案の私は、そんなところに足を運ぶなんてことは思いもよらないことなのですが、幼少のみぎりから憧れていた石森章太郎先生がやって来るということで、勇気を奮い立たせて現場に向かったのでありました。おまけに厚かましいことに、店員さんに「『マンガ日本の歴史』を買えば、他の本にでもサインしてもらえるんでしょうか」と訊ねたのでありました。正直言って、『マンガ日本の歴史』なんて本には興味がなかったし、サインしてもらえれば何でもいいと言うわけではなかったので、そんなことを訊いたのですが、この店員さんというのがとてもいい人で「先生は優しい方なので、きっと大丈夫だと思いますよ」と、私をサイン待ちの列に並ばせてくれたのである。

 そして、店員さんの言ったとおり、石森先生はサインを拒否するどころか「『ロボット刑事』が好きなの?」とちょっと不思議そうな顔をして、Kを描いてくださったのだ(大抵の人は009か仮面ライダーだった)。あぁ、ありがたい!そして本来なら私を排除することができた(だって『マンガ日本の歴史』のキャンペーンだから、本を持っていない客にサインを貰う資格なんてなかったのだ)にもかかわらず、列に並ばせてくれた駸々堂の係員さん、ありがとう!

 さて、『ロボット刑事』である。私は、いわゆる変身ブーム(第2次怪獣ブームと言ったりもする)の最中にお子様時代を過ごしたので石森ヒーローに育てられたといっても過言ではない。仮面ライダー(当時、雑誌「おともだち」の全員プレゼントかなんかでアマゾンから年賀状貰ったなぁ)を筆頭にキカイダー、ゴレンジャー、ロボコン……石森ヒーロー数ある中で、最も着痩せするロボット刑事は、テレビ番組としては間違いなくマイナーだと思いますが、マンガは大傑作です。

 警視庁で出世とは無縁のヒラ人生、ベテラン刑事の芝は、いきなり特捜コンビを組まされる羽目になるが、なんと相手は最新ロボット!長年、足とカンで事件を解決してきた地道一筋の芝には科学捜査は信用できず、ロボット刑事「K」にも露骨に反感を示す……。かたやKは、的確に状況を分析して捜査にあたる優秀ぶり。芝は事件の裏に「R.R.K.K」(ロボットレンタル株式会社)という組織が存在し、Kを造り警視庁へ送りつけた「マザー」と関係があることを突き止める……相次ぐ凶悪事件の謎に迫りながら機械対人間の確執を描く異色作。

 『佐武と市捕物控』『草壁署迷宮課おみやさん』に連なるミステリ漫画の傑作であると同時に、他のヒーローものと同じく痛快なアクションとともに異形の悲しみもしっかりと描かれ、石森(誰が「石ノ森」なんて言うもんか!)章太郎の濃いところが味わえる必読の作品です。