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ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ジョジョの奇妙な冒険

荒木飛呂彦  1987年〜

おまえは今まで食ったパンの枚数をおぼえているのか?

 2011年は『荒木飛呂彦執筆30周年』、2012年は『ジョジョの奇妙な冒険連載25周年』のメモリアルイヤーなのだそうである。すっかり国民的漫画になってしまって、「ロマンホラー!−深紅の秘伝説−」時代から読んでいる当方としては当惑すること頻り。というのは、私は、ジョジョが面白かったのは第2部までだと思っているからなのだ。

 19世紀末のイギリスを舞台に、英国貴族ジョナサン・ジョースターと、下層階級出身だが類稀なカリスマ性と野望を持つディオ・ブランドーとの抗争を「石仮面」の謎や「波紋」の能力を絡めて描く第1部「ジョナサン・ジョースター その青春」(「ファントム・ブラッド」)、そして50年後、1938年のアメリカで、ジョナサンの孫、ジョセフ・ジョースターが、人類を遥かに凌駕する知的生物「柱の男」を倒すため、「エイジャの赤石」を巡って死闘を繰り広げる第2部「ジョセフ・ジョースター 誇り高き血統」(「戦闘潮流」)までの完璧に構築された物語世界、史実を巧みに取り入れ、その上でトンデモナイ展開を見せるストーリー、そしてキャラが立ちまくった登場人物(特にナチス・ドイツのシュトロハイムは異常)といった魅力は、他に替え難いものがあった。

 現代を舞台に、ジョセフの孫、空条承太郎が復活したDIOと戦う第3部「スターダスト・クルセイダーズ」で、超能力を可視化した「スタンド」(当初は「幽波紋」なんて言っていた)が登場し、ここから世間での人気が高まっていったのだけれど、スタンド能力は「なんでもあり」の世界に突入し、おまけに少年ジャンプ得意の「人気のある作品はトコトンまで引っ張っていく」という方針にのっとって、明らかに場当たり的、翌週以降の展開を考えずに描いているのがバレバレで、第3部以降は、何処にでもある漫画短編の繋ぎ合わせみたいになってしまったのだ。更に悪いことに第3部の結末は、ジョースター家100年の因縁の決着にしては、あまりにも御都合主義で呆気なくてガッカリ。続いて始まった第4部「ダイヤモンドは砕けない」は、当初、主役の東方仗助が承太郎そっくりで新味が感じられず、私は一旦、連載を追うのを止めてしまったのである。

 後に、第4部終盤の変態殺人鬼との戦いが面白かったので、イタリアを舞台にDIOの息子(この設定が情けない)ジョルノ・ジョバアーナが活躍するハードな第5部「黄金の風」、承太郎の娘(もうなんでもあり)徐倫が世界をパラレルワールドに突っ込ませる戦いに身を投じる第6部「ストーン・オーシャン」と後追いで読んでみたけれど、やっぱり第2部までの面白さには敵わない。週刊誌から月刊誌に移って、余裕あるペースで(絵柄もずいぶん変わって)第7部「スティール・ボール・ラン」、第8部「ジョジョリオン」とパラレルワールドでの物語が続いているけれど、本当に今でも人気があるのか?ストーリーとしては既に終わっていて、今受けているのは第7部以降の「絵」だけだと思うのは考えすぎなのだろうか。