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ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ホッグ連続殺人 THE HOG MURDERS

ウィリアム・L・デアンドリア  1979年

みんな○○○で殺されたのだ。

 現代の古典!と騒がれたのも一昔前ですが(「十年に一度の傑作」と大騒ぎしたのは瀬戸川猛資)、その後、これを超えるものなんて出てきているのでしょうか(もっとも、北村薫は貶しているようだが)。最近は猟奇的な連続殺人が起きて、事件を捜査する奴は私生活に問題を抱えているか幼少時のトラウマがあるかなにかで精神的にちょっと問題がある奴で、犯人はただのキチガイで「殺したかったから殺した」みたいな程度の動機で、上っ面の死体の派手さだけで、真相に関しては驚きも何もない作品ばかりが持て囃されているような気がするのは私だけでしょうか。そういう作品は、こけおどしの映画の原作にはなりやすいんでしょうけれど、そんなもん誰が読みたいっちゅうんじゃ。と、お嘆きの貴兄に朗報です。毛生え薬の宣伝みたいですけれど、絶対、損はさせません!

 雪に閉ざされたニューヨーク州の地方都市スパータ。ある日、新聞記者ビューアル・テイサムは、高速道路の標示板が車に落下するという事故を目撃する。乗員3人のうち2人が死亡。一見ただの不幸な事故のように見えたが、その後、標示板の金具に細工の跡があることが判明し、HOGと名乗る人物から犯行声明が届く。あれは巧妙に仕組まれた殺人だったのか。更に、警察を嘲笑うかのように死者が続発し、犯行声明も次々と送られてくる。しかし、事故や自殺としか思えない死に方をしており、犯行方法がまったく分からない。おまけに被害者達には全く共通点がなく、捜査は暗礁に乗り上げる。この恐るべき事件解決のため、世界有数の頭脳といわれる天才犯罪研究家ニッコロウ・ベイネデイッティ教授が乗り出した!果たして事件の真相は?

 ……というわけで、不可能犯罪を扱った作品としては、ある意味極北と言える一読驚嘆の正統派推理小説です。某有名作品と同じアイデアを使っていますが、こちらの方がずっとリアリティがあって、堅実といえば堅実、考えようによっては身も蓋もない真相が明かされたときの衝撃はかなりのものです。だからと言ってケレン味がないわけでもなく、ある小さな手がかりから驚愕の真相が導き出されるあたり、あのエラリー・クイーンの大傑作『エジプト十字架の謎』にも匹敵する面白さです。そして、ラスト一行の見事なこと!その比類なき切れ味を御堪能ください。「これをクイーンが書いていれば、もっとすごいものになっていたろうに」と惜しんでいる評を見かけたこともありますが、いやいや十分傑作です。



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