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ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

黒後家蜘蛛の会 TALES OF THE BLACK WIDOWERS

アイザック・アシモフ  1972年〜1992年

声の出演は久米明

 ミステリーなんて一口に言っても、……て言うか、ミステリーって言葉自体使わんのですけどね、私ゃ。推理小説って言いたいんですけど、そう言うと、すごく古臭い人のように思われるし(確かにそんなに若くないけどさ)、それに最近じゃいろんなのが出すぎてて、「推理小説」の定義から外れちゃうようなのが多いんですな。それはそれでいいんですけど、そういうのばっかり読まされると、やっぱり古典的な形式って言うか、これぞ推理小説!みたいなのが読みたくなるもんです。ジャズでもね、けったいな楽器でけったいな編成でけったいなリズムのを聞くのも珍しくていいんですけど、やっぱりたまには伝統的な4ビートをテナーサックス入りのカルテットで聞きたいやんって思いますし、料理でも、どこにあるのかも分からん国の料理も食べてみたいけど、やっぱり茶漬けは外せへんでしょうって感覚あるでしょ。あれと同じ。

 というわけで御紹介するのは、この短編集。タイトルだけ見るとホラーみたいですけど、全然違いますよ。正統派の安楽椅子探偵物です。

 ニューヨークのミラノ・レストランで月1回、「黒後家蜘蛛の会」という名の例会が行われる。メンバーは化学者、数学者、弁護士、画家、作家、暗号専門家である。メンバーの1人がホストを務め、ホスト役のメンバーが呼んだ1名のゲストが参加する。そこでは常に、初老の男ヘンリーが給仕につく。メンバーは、食事をしながら四方山話をする。その過程において、多くの場合はゲストが語る話の中に「謎」が出てくる。メンバーはそれぞれの専門知識を援用してその謎を解くべく考えていくが、結論にはたどりつかない。袋小路に陥る段階の一歩手前で、その会話を聞いていた給仕のヘンリーが真相を言い当てる……。

 こういう作品こそ推理小説の醍醐味を味あわせてくれるってもんですよ。コーヒー、いや、ここは「珈琲」と書きたいね、珈琲なんぞ飲みながら、一篇一篇をお楽しみください。