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ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

トウキョウ・モナムール:ピチカート・ファイヴのグラフィック・デザイン 1985-2001

2002年

graphics, memorabilias and trivias

 現代のアートな皆様必携の書。アート・ディレクター信藤三雄と小西康陽のいい仕事満載。もぉインクの匂いがプンプンで、変な判型と相まって、机の上に置いておくだけでアートなムード満点です。それにしても、この分厚さ。4センチ弱あるぞ。弁当箱と名付けてやろうじゃありませんか。ばっくり背中が割れます。間違っても寝転がって読んだりはできません。正直言って、本がバラバラになっちゃうのではないかと、しょっちゅう手に取ることすら躊躇われる困った出来でもあるのですが。

 それにしても、ここに収められた作品群にはため息が漏れます。『sweet pizzicato five』の丸だけを使ったデザインの素晴らしさはどうだ。また、数々の作品で見られる四角形の構成の美しさはどうだ。『Bossa Nova 2001』の透明プラケース(恥ずかしながら、全部透明のプラケースを見たのは、これが初めてでした)と丸いインナーの組み合わせの見事さ、『HAPPY END OF THE WORLD』のビニール製ケースの衝撃といったものはどうだ。完璧以外に言葉がないタイポグラフィ、ハングルまで使った貪欲さはどうだ。リキテンスタインやらサイケデザインやらの消化・昇華具合はどうだ。『さ・え・らジャポン』で見せた日本的なるものへのオマージュ具合はどうだ。下手にやれば陳腐にしかならないものをギリギリの線で美に保っているセンスには脱帽するしかありません。

 ものすごく乱暴に言い切ってしまうと、この人のデザインは日の丸なのだと思う。丸と四角。それだけ。レコードとジャケットも丸と四角だ。Simple is best。『さ・え・らジャポン』がラストアルバムだったから、それをハッキリと告白したのだと思う。シンプルなものが一番強い。日の丸というのは実に優れたデザインだね。誰が何と言おうと、全世界でナンバーワンだ。国旗だ国歌だというと、すぐにイデオロギーの問題を持ち出してぐちゃぐちゃ言う奴がいるが、まぁ、歌として辛気臭い「君が代」が好かんという人がいるのは理解できるとして、日の丸の美しさが分からん奴は死んだ方がいい。あれほどシンプルで完璧なデザインはないぞ。東京オリンピックの際に亀倉雄策がデザインした公式ポスターが世界中で好評を得たのも、五輪との相性と併せて、日の丸の美しさゆえである。あれを超えるオリンピックのポスターなんか見たことがない。超えられるはずがない。

 それにしても、ピチカートの灰皿欲しかったなぁ。私はタバコを吸わないのですが、あの白くて、底に青地に黄色文字で「les pizzicato five」と書かれた灰皿は実にイカシてました。ネットで見つけて買おうと思った時には、既に品切れで買えなかったのです。なんとか「yikes!」Tシャツは1枚買えたんですが……かえすがえすも口惜しや。


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