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ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

魔界転生

[原作]山田風太郎 [作画]石川賢  1987年

豪快なり柳生十兵衛!無頼奔放、常人の行儀作法のあてはまらぬ男!

 寛永15年、島原の乱は幕府軍により鎮圧されたが、幕府軍の軍監として戦った宮本武蔵は、亡くなったはずの森宗意軒、荒木又右衛門に出くわす。何故、死した者達が……?それは、森宗意軒が編み出した忍法「魔界転生」によって、剣豪たちを意のままになる部下「転生衆」として生まれ変わらせていたのだ。天草四郎時貞を頭領にいただく転生衆は、居合の田宮坊太郎、宝蔵院流槍術の宝蔵院胤舜、江戸柳生流の柳生但馬守宗矩ら名だたる剣豪たち。紀州の徳川頼宣とともに江戸幕府、将軍徳川家光の天下を奪わんとする企てを進めていた由比正雪は、自らも森宗意軒とともに魔道を行く決心をする。しかし、転生衆の前に立ちはだかる男がいた。その男こそ柳生十兵衛である!

 かの有名な山田風太郎の代表作をダイナミックプロの石川賢が漫画化しました。『魔界転生』は、何度も映画化、漫画化、アニメ化されましたが、原作のスケールがデカすぎて収拾がつかなくなるのか、マトモに映像化されたのを見たことがありません。そんな中で一番見応えがあるのは、やはり深作欣二監督による映画でしょう。CGなんかない時代の手作り感満点の映像(ラストの炎上シーンが凄すぎる)、ド迫力のアクション、天草四郎の沢田研二、但馬守の若山富三郎とハマりまくったキャスト、千葉真一以外の柳生十兵衛なんて認められませんね。2時間程度に収めるため、いろいろとアレンジが加わっていますが、原作の面白さを殺すことなく、見事な作品に仕上げています。この「原作を殺さないアレンジ」という奴が、なかなか出来ないのですよ。原作のエッセンスを的確につかみ、クリエイターの個性で味付けしてやらなくてはいけないのに、「どうして、これを映画化しようと思ったのだろう?」と疑問に思うような作品も少なくありません。『RED SHADOW 赤影』とか『CASSHERN』とか『デビルマン』とか、センスのない人間がネームバリューだけを当てにして原作を貶める愚作、駄作は、もういい加減に止めてほしいものです。

 その点、この石川賢の漫画版はすごいです。収拾がつかなくなることでは並ぶもののない石川賢が、原作のパワーはそのままに、トンデモ系に仕上げた逸品です。さすがダイナミックプロの名に恥じないぐちょぐちょでびちゃびちゃでゲロゲロな描写はもちろん、転生衆の行動目的自体が幕府の転覆から数段グレードアップ、立ち向かう十兵衛も異様な連中を味方につけて戦います。原作をはるかに飛び越えて、ある意味、深作映画版よりも強烈な魅力を放っており、これはこれで映像化されたものを見てみたいものです。でも、この人達が描くと、結局○○○○○になっちゃうのな、どんな作品でも。