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ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

笑う大天使

川原泉  1987〜1988年

男にも生○があればいいんだっ!

 日本でも一、二を誇る天下無敵、史上最強の超名門お嬢様学校、聖ミカエル学院では、大天使ミカエルに見守られながら、清く正しく美しい「ごきげんよう」な時間が流れていた。司城史緒、斉木和音、更科柚子の3人は、それぞれ猫をかぶりまくり、良家の子女として偽りの学園生活を送っていたが、ある事件をきっかけに互いの本性がばれ、仲良しこよしになる。戯れに作った薬品が原因で、メンデレーエフの力(たまたまメンデレーエフの話をしていた時に得ただけで、元素周期表と関係があるわけではない)と呼ぶ超人的な怪力の持ち主になってしまった3人は、巷で話題の名門女子高校生連続誘拐事件の解決に挑む。

 というわけで、抱腹絶倒の少女漫画。こういうマンガをしれっと紹介するあたりが、このサイトの奥深いところなのである。なにしろ少女漫画である。妹が読んでいた『なかよし』とか『ちゃお』とかを見る機会が多かったので、少女漫画にも違和感なく接することができるのである。もっとも、少女漫画と言ったって、スポ根ものの『エースをねらえ!』とか、オカルトでスパイでギャグの『パタリロ!』とか、バイオレンスアクション巨編の『スケバン刑事』とか、天藤真をパクったことでも有名な『有閑倶楽部』とか、プリティでキュートな絵柄で、どこかシュールな竹本泉(『パイナップルみたい』ってのを読んでたなぁ)などが好みの私が紹介するような作品なので、顔の半分以上が目玉で、目玉の中に星がキラキラしていて、背景に薔薇だのなんだの花を背負っていたり、食パンを咥えて「遅刻、遅刻」と焦って走り交差点でぶつかったり、雨の日の学校の帰り道で不良が捨て猫に餌をやっているのを見かけたりするような一昔(それ以上?)前のイメージとは大違いなのですが、それにしたって普通、私のようなむくつけき男が紹介する作品ではないのである。お、「むくつけき」なんて難しい言葉を使っちゃったな。こういうところに知性って奴が滲み出ちゃうのな。大体がバカっぽいから、端々に知的な言葉を散りばめとかないとな。

 というようなことはさておき、この作品は3巻まで出ていて、2巻までは長編、3巻は短編集になっております。この長編が、ミステリでアクションで少々SFで当然ギャグで面白いのです。絵がもう少し少女漫画チックでなければ、更に味わい深いものになっていたと思うのですが。短編集に収められた「オペラ座の怪人」は、打って変わって泣かせに泣かせまくる珠玉の名作。素晴らしすぎてハンカチが手放せないので、是非読みたまえ。「少女漫画は、ちょっと……」なんてことを言っていると大損します。2006年には、上野樹里、関めぐみ、平愛梨の主演トリオで映画化されたけれど、どうもイメージが違うし、華はないし、上野樹里は『スウィングガールズ』で共感も感情移入もしようがない役をやってから苦手だし、といったわけで、大した話題にもならなかったようです。


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