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ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

映画秘宝vol.2 悪趣味邦画劇場

1995年発売

未ソフト化作品まだまだ多し。まだ死ねぬ!

 石井輝男から『子猫物語』まで、性と暴力とナンセンスで走り抜けるマッハ78の日本映画。日本映画入浴シーン50年の歴史や、「女囚さそり」シリーズ、強引マンガ映画化チャンピオンまつりなどのエロス、暴力、ナンセンス映画から異色監督列伝、知られざる製作現場エピソードまで満載したマニア必携の名著。

 今では普通の映画雑誌みたいな顔をして売られていますが(そうでもないか)、昔の映画秘宝は、こういうワンテーマ・マガジンだったのです。何処の本屋にでも置いてあるといったものではなかったですし、したがって何の権威もありませんでしたから、極めてアナーキーでラディカルで、今より毒も癖もずっと強かったですよ。しかも、世間ではあまり話題に上らず、見たことも聞いたこともない映画が、映画そのものより面白いのではないかと思われるような芸達者な文章で紹介されているのだから、たまったものではありません。とにかく、この本のおかげで、私の映画人生は変わりました。

 これを読むまでは、文春文庫の『大アンケートによる洋画ベスト150』だの『大アンケートによる日本映画ベスト150』だのを片手にレンタルビデオ屋を回り、やれヒッチコックだチャップリンだ黒澤だ小津だと古今東西の名画と呼ばれるものを借りまくって見まくるという極めて正統派の映画ファンだったのです。歴史の重みに耐えてきた作品というのは、やはりそれなりに面白かったですし(ただ、小津作品だけはダメだった……)、どのような映画が「名作」と呼ばれるのかもなんとなく分かりましたし、どうせカノジョも友達もいなくて金もなくて安価な娯楽しか求められない境遇だったから、この頃の経験は良かったと思うのですが、そんな真っ当な人生も、この本を読むまでのこと。この本を読んでからというもの、TSUTAYAなんかより前に開店した個人営業で、でも大して客の入っていないような、いまだにベータのビデオテープを置いているような店を探し、奥の方の、誰も寄り付かないような棚のあたりを目を血走らせながらうろつき回り、今までに貸し出されたことがあるのか、店主は何のつもりで仕入れたのかと疑われるような品物をレジの兄ちゃんに差し出すという不審者丸出しの行動を取るようになってしまったのです。

 この本を読まなかったら、『修羅雪姫』(当然、釈由美子じゃなくて梶芽衣子である)も『御用牙』も『徳川女刑罰史』も見ることはなかったでしょう。迫力と勢いと血しぶきはてんこ盛りでも、知性の欠片も感じられない映画を缶ビール片手に浴びるほど見る楽しみも知らずにいたでしょう。おかげで知能指数も見る見る低下、社会性も剥奪されまくり、少なくとも精神的には世捨て人同然にまで落ちぶれてしまいました。本当に感謝しています。でも、この本を読む前から『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』『吸血鬼ゴケミドロ』『ゴルゴ13 九龍の首』も見ていた私は、やはり最初から「そっち系」の人間で、いずれは地獄道を驀進する運命にあったのでしょうか。



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