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ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

乱れからくり

泡坂妻夫  1977年

老け役の岸田森は何を語る?

 その昔(1979年)、松田優作主演で映画化されましたけど、なんか変な仕上がりでしたね。て言うか、ズバリ失敗作でしょう。この作品の肝の部分をまったく無視した脚本は酷いの一言。だって××が××してちゃダメでしょう。監督の児玉進は、主にテレビドラマを撮っていた人らしいけれど、よく知らない。脚本は、復活ゴジラ(サイボット靖子)を書いた永原秀一。優作関係では『最も危険な遊戯』も書いている。こりゃダメだ。世間の皆様ほど優作を評価していない私としては、松田優作が出ている映画にはろくなものがない、ということが、またしても証明されちゃったのだなぁと思うのでした。火曜サスペンス劇場でもやっていたと思うのだけれど、確か、どっちにも岸田森が出ていたなぁ。それはともかく、原作は傑作なので、不幸にして映画を先に見ちゃった人は、恐れることなく手に取ってください。

 宇内経済研究会は元警官の宇内舞子が一人でやっている、貸し机だけの探偵社で、名前とは裏腹に金になることは何でもやっている。食い詰めたボクサー勝敏夫は、そこで唯一の社員として働くことになった。最初の仕事は、玩具メーカーの製作部長馬割朋浩の妻、真棹の素行調査。真棹は、朋浩の従兄弟、宗児とラブホテルで逢った。ホテルを出た真棹は一旦家に戻った後、帰宅した朋浩とハイヤーで出かけたが、尾行する舞子と勝の目前で、隕石の落下を受けて真棹は怪我をし、朋浩は焼死してしまう。朋浩の通夜が行われた夜、朋浩と真棹の子供でまだ2歳半の透一が睡眠薬の飲みすぎで死んでしまう。舞子が他殺を疑う中、横浜にある「ねじ屋敷」といわれる異様な形をした馬割家の屋敷で、次々と殺人が起き始めた。宗児が逆立人形というからくり人形のネジを巻いたときに、人形に仕掛けられた毒針を手に刺して死亡、宗児の妹、香尾里が庭で目を銃弾で射抜かれて死亡してしまう……。

 というわけで、泡坂妻夫の恐るべき仕掛けに肌も粟立つ最高傑作。推理小説史上、隕石に当たって死ぬなんて登場人物がいたでしょうか。そんな冒頭で、いきなり度肝を抜かれますが、あちこちに配された玩具たちが不気味な雰囲気を否が応にも増幅させ、驚愕の真相まで巻措くあたわざる面白さ。大体ね、こんなに良く出来た推理小説をですね、松田優作だの永原秀一だのといったデリカシーのかけらもない、その場の勢いだけの、オナニー野郎どもに映画化できるわけないんですよ。ただでさえ推理小説の映画化ってのは難しいんですよ。でも、映画を見て、原作も読もうかなって人もいるのだから、そこのところをよく考えて作って(作らないで)もらわないとね。