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ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

少年探偵王 本格推理マガジン 特集・ぼくらの推理冒険物語

[監修]鮎川哲也 [編]芦辺拓  2002年

幼少時の読書体験に最適な一冊

 名だたる探偵作家が書きながら、今はほとんど顧みられない少年少女向け推理小説。しかし、ベッドを抜け出し悪者を追う少年、助けを呼ぶ少女、空飛ぶ悪人、猛獣と名探偵の対決といった場面に心躍らせた人は少なくないはず。入手困難な名作を復刻する文庫の雑誌「本格推理マガジン」。今回は、江戸川乱歩、高木彬光、鮎川哲也が手がけた少年向け小説と、河島光広の人気漫画「ビリーパック」を発掘。

 私の表の稼業は市役所の係長さんなので、部下から、日々いろいろ報告を受けたりするのである。報告・連絡・相談、いわゆる「ほうれんそう」ってのは、仕事の基本なのである。基本なのであるが、報告を受けていると、頭を抱えることというのが、よくあるのである。報告を受けたあとで、さぁ、どう処理したものか、などと悩んでいるわけではない。そんな高級な悩みではないのだ。報告を受けるだけで頭を抱えてしまうのである。なんなんや、お前は、と。何が言いたいねん、と。誤解しないでほしいのだが、言葉遣いがなっていない!などということを言いたいわけではない。そんなレベルにすら至らないのである。部下が、何を言っているのか分からないのである。私の頭は、そんなに悪くないのだが、何の報告を受けているのか、サッパリ理解できないのだ。ひょっとして単に話し下手なのかも知れぬということで書類にして提出しろと命じたら、見事に何が書いてあるのか分からない。先刻の口頭による報告と正反対のことが書いてあったりする。論理的思考(って言うほど大層なものではないと思うのだが)が出来ないのだ、と結論づける以外にない。私までで止まる報告ならまだしも、課長や部長、局長まで上げていく書類などは、私の朱で真っ赤っ赤になる。いわゆる「見え消し」という奴で、どこをどう直したかが分かるようにして、更に、何故そんなふうに直したかも説明してやるのだが、全然理解できていない。私の説明が悪いのだろうかと、いろいろ考えたり工夫したりしてみたけれど、一向に事態は改善されない。

 これはもう、本質的に幼少時の国語教育に問題があるとしか思えない。物事の本質を的確に把握し、最も効果的かつ効率的に伝達する……これって社会生活を送る上で必要不可欠な能力でしょ?これが出来なきゃ、仕事どころか、日常生活だってマトモに送れやしないわけです。そういった能力をいかにして育成するか。幼稚園だの小学校だので、本を読んで、その内容を誰かに語って聞かせる、という訓練をすればよいのです。そして、そのテキストには、ここで紹介しているような少年向け推理小説が最適なのです。論理的思考とともに正義の心も育むことができる。言うことなしのテキストではありませんか。いや、ホント、幼い頃の読書体験っていうのは大切ですよ。