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ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

JACKET DESIGNS IN JAPAN 音楽とビジュアルが交歓する四角い宇宙

[編集]備酒元一郎  2004年

それでも私は紙ジャケは嫌いだ

 雑誌「レコード・コレクターズ」の増刊号として発売された、オールカラーの好企画。レコードジャケットのデザイナー……って、別にそれだけしかやってないってことないんやけどね……まぁ、そういう仕事が多いとか、特に顕著とか、まぁそんなようなデザイナーへのインタビューと作品をまとめた本。名作ジャケット誕生秘話を、カラー写真約500点と詳細なデータつきで掲載。取り上げられているデザイナーは、奥村靫正、中山泰、小島武、廣野勝、林静一、酒井治、鋤田正義、原耕一、羽良多平吉、八木康夫、立花ハジメ、田島照久、信藤三雄、矢吹申彦、湯村輝彦、河村要助、後藤一之、内藤忠行、平石誠、廣野展生、長岡秀星、横尾忠則、和田誠、杉浦康平、田中一光の総勢25名。正直言って名前を知っている人が5人しかいなかったのは、お恥ずかしい話です。ジャケットデザインというと、やっぱり古いジャズのLP(ブルーノート・レコードが典型的)なんかが美しくてシャレていていいなぁと思うわけですが、日本のLPにだってイイのがあるんだ!というわけで、こういう本がまとめられたのである。

 CD時代になってから、レコードのモノとしての価値が下がったとかなんとかで、紙ジャケットなんぞというものが流行っておるけれど、あんなもんには私ゃこれっぽっちも価値を見出さない、て言うか、さっさと無くしてほしいもんだ。なんかこう根本的に発想が間違っているのではないか。まぁ、確かにLPは大きいからデザインし甲斐もあったろうし、モノとしての存在感だって大きかったと思うけれど、だからと言って、わざわざ扱いにくいサイズの紙ジャケットなどというものを作るのは正気とは思えない。アレを見て「LPっていいなぁ」と思う奴なんているのだろうか。どうせやるなら、サイズもLPサイズにして、中身だけCDにすればいいのだ。

 それはさておき、LPジャケットのデザイナーということで、必然的に60~70年代に活躍した人が多く取り上げられているけれど、あの時代の人って、なんかこう左翼!とか全共闘!とかいう臭いがするね、やっぱり。ええ歳してジーパンで長髪を後ろで括ってて、ネクタイなんて持ってないし、コルトレーンしか聞かないぜ、みたいな。そういうのがカッコイイんですかな。私には、ただの社会不適合者としか思えませんがな。まぁ、ここに出てくる人達はゲージツの世界で飯を食えているわけで、そういう意味じゃ不適合者じゃないんでしょうけれど、堅気って訳でもないような気がする。胡散臭いよなぁ。まぁ、別にええんやけど。

 で、日本のLPの場合、ジャケットと中身のギャップがいささか激しいように思われる。なんというか、やっぱり泥臭いと思うのですよ、日本の音楽は。それが悪いというわけではないのだけれど、泥臭いなら泥臭いなりのジャケットデザインにしないと、むやみやたらとオシャレにしたって仕方がないわけです。ジャケットというのは単独で評価されるものではないと思うのですね。内容を引き立たせることを重視した意匠、それこそが優れたデザインというものであって、それがいかに難しいかを考えさせられたりもするわけなのでありました。


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