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ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

長坂秀佳 術

長坂秀佳  2004年

すべての「斗う」人々に贈る!

 天才シナリオライターの自伝的エッセイ。乱歩賞の話やら何やら、とにかくエピソードのひとつひとつが面白すぎて、本当にノンフィクションなのか首を傾げるくらいだが、天才なのだから仕方がない。痛快無比、波乱万丈の人生をお楽しみあれ。

 さて、長坂と言えば『特捜最前線』というわけで(『快傑ズバット』じゃないのかとお怒りの諸兄、すみません)、本書には長坂が手掛けた全109エピソードについてコメントがあったり、最終3部作のシナリオが採録されていたりするのだが、2013年9月29日、久々に地上波で復活した『特捜最前線2013~7頭の警察犬』は大問題だった。

 天才は2時間ものでは発揮されない傾向にあるらしく、渡瀬恒彦の十津川警部や中井貴一や役所広司の金田一、稲垣メンバーの明智、果ては佐藤浩一や東山紀之の棟居シリーズなどいろいろと手掛けてはいるものの、あまり見るべきものはない。それでも、初期の野呂盆六は頑張ってたと思うのだが、後になるにつれ、つまらなくなってるし(もっとも、これは土曜ワイド劇場になっちゃったからかも知れない。第6作「哀しみ館の惨劇!」は、いろんな意味で長坂炸裂だったが)。あの『特捜最前線』ですら、前後編では後編がグダグダになる傾向があったくらいなので、今回の2時間スペシャルにも不安の黒雲が漂っていたのであった。しかし、蓋を開けてみれば、それどころの騒ぎではなく、キャストに魅力なく(課長役が小林稔侍って段階で終わってる)、演出は盛り上がりもなくテンポも悪い(監督は『相棒』、『臨場』の橋本一)、そもそも、どこが『特捜最前線』なのかと目を疑う酷い出来だった。長坂衰えたり、では済まぬ話だぞと思っていたら、長坂の娘さん(って誰なのかしら)がブログで裏話を暴露したのだった。こんなことされては天才シナリオライターでも、どうすることもできない。個人的には課長を三浦友和、刑事役には特撮畑から高橋光臣、能見達也あたりを連れてきて復活してほしいと思ってたのになぁ……。

 以下、長坂の娘さんのブログから

 2013年9月30日 (月)「書き変えられた台本」

 作者に無断で書き変えられた決定稿の台本
 秘密にされた決定稿

 作者が、どんなおもいを込めて作品を生み出し作りあげたのか、
 その思いも汲み取れない人が、身勝手なもの作りをしているなんて
 落胆して、ひどくひどく悲しくなった

 あれは違う
 あれは特捜最前線ではない

 出来上がってオンエアされたものを、長坂秀佳の作品だと、皆様は思ってしまう
 発言する場も、言い訳する場もないのだから
 私はそれが悔しくて悲しくてゆるせない

 本人はどれだけ悔しいだろう、どれだけ怒りがこみあげてくるだろう
 変えられてしまう前の台本で、上川さんが演じる姿がみたかった

 ただただ悔しくて、ただただ悲しい

 2013年10月 3日 (木) 「父が決めた斗い」

 父が書いた特捜最前線2013・七頭の警察犬、変えられてしまう前の決定稿の台本を読みました

 頭の中に上川さんが演じる姿を想像しながら、ゆっくりゆっくり台本を読んでいきました

 台本は、父が描き出す特捜最前線でした
 銃撃戦も爆発もなく、犬が亡くなることもない
 登場人物に心がかよっていました
 やはり、違っていた

 こんなにかえてしまうつもりだったなら、なぜ本を長坂秀佳に書かせたのか
 誰にも届かない七頭の警察犬を読みながら、ひどく悲しい気持ちでいっぱいになっていました

 脚本家に知らせず大改正された作品は、私たちの知らないところで他にもあるのかもしれません
 悔しい思いをされた脚本家が、これ以上増えないためにも
 こんなことはあってはいけないと
 父は、台本をかえてしまった相手と、斗うことめました

 斗うことは、今後脚本の仕事が頂けなくなるかもしれないということ
 それでも、父は斗う事に決めました

 今後作品が見られなくなるとしたら、本当に嫌です。

 …でも、

 父は脚本家を守りたいのだと思います
 まだまだ書きたいものが、たくさんあるはずなのに、
 書けなくっても、本当にそうだとしても、
 大事なものを守りたいのだと…

 ひどい目に合うのではないか…、娘にとって、そればかりが心配です

 どうか、父を御守り下さい


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