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ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

成田亨作品集

成田亨  2014年

これぞ決定版 日本人必携の画集

 行きたかった……「成田亨 美術/特撮/怪獣−ウルトラマン創造の原点」。富山県立近代美術館(2014年7月19日〜8月31日)、福岡市美術館(2015年1月6日〜2月11日)、青森県立美術館(2015年4月11日〜5月31日)、どこでもいいから行きたかった。富山にも福岡にも青森にも行ったことがないから、観光ついでに行きたかった。しかし、妻子持ちの貧乏サラリーマンには、そんな贅沢は許されなかったのである。しかしまぁ、デザイン画なんてサイズは小さいだろうし、美術館で見るのには、あんまり適さないかもしれない、と自分に言い聞かせて諦めたのだ。なんて哀しい人生だろう。

 さて、本書は、この美術展の公式ガイドブック。厚さ3センチ以上の大ボリューム。あの『成田亨画集』とは違い、ウルトラシリーズ以外の作品を多く収めているところに最大の価値がある。いや、ウルトラシリーズのデザインが素晴らしいのは当然。「氏の業績がシリーズのデザイン面を大きく支配していることは事実だが、社員として仕事をしていた以上、その著作権は円谷プロに属する」と言えば済む話なのに、成田が故人なのをいいことにして、氏の業績を不当に過小評価しよう(「デザインはみんなで考えた」とか。ありえへんやろ)というのが円谷プロの意向のようだが、いまだにウルトラシリーズの主役は初代マンかセブンのアレンジだし、再三登場するのは成田デザインの怪獣だけなのを、どう説明するのか。

 というわけで、氏が天才だったのを証明するのが、この一冊。ウルトラ関係については、『画集』には載ってて、この『作品集』に載ってないものもあるが、それを補って余りあるのは、『突撃!ヒューマン!!』等の、これまで、あんまりフィーチュアされてこなかったデザイン。個人的には、その昔、『宇宙船』だか何かで見て衝撃を受けたティーバス大尉をはじめとする『円盤戦争バンキッド』の宇宙人デザインが多数収録されていること、そして、1980年代に描かれたらしい怪獣デザインに感動した。彫刻家だけあって、平面だけで考えたデザインじゃないのがハッキリ分かる。特撮物に興味のない人には食指なんか動くはずもない本だとは思うけれど、騙されたと思って見てほしい。