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ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

おジャ魔女どれみドッカ〜ン!

[出演]千葉千恵巳、秋谷智子、松岡由貴、宍戸留美、宮原永海  2002年

ピュアピュアドリームでっかくそーだて!

 1999年に放送を開始した『おジャ魔女どれみ』シリーズ第4弾にして完結編。自称「世界一不幸な美少女」の小学3年生、春風どれみは、ひょんなことから本物の魔女マジョリカと出会う。普通の人間から「あなたは魔女ですね」と声に出して指摘された魔女は魔女ガエルになってしまうという呪いによって、魔女ガエルに変えてしまったマジョリカを元の姿に戻すため、どれみは幼なじみの藤原はづき、転校生の妹尾あいこ、瀬川おんぷとともに魔女見習いとしての修行に励むという物語で、いろいろなドラマが展開するのだが、第2弾『おジャ魔女どれみ♯(しゃーぷっ)』で人間界と魔女界が再びつながりを持つことを恐れる先々代の女王様が初登場。第3弾 『も〜っと!おジャ魔女どれみ』では、人間界での哀しい思い出から負の感情を暴走させていた先々代の女王様を助けようと奮闘を開始する。そして、いよいよ本作で、自らが人間界で味わった辛い思い出から生まれた「悲しみの茨」に捕らわれたまま眠り続けていた先々代の女王様を解放し、魔女ガエルの呪いも解いて、めでたしめでたしとなるのである。

 東映伝統の魔女っ子ものなのだが、魔法を使った活躍を描くどころか、魔法が何の役にも立たなかったり、魔法が出てこなくても支障のない話もあり、自分の意思で魔法を使うのをやめたり、魔法を捨てたりした魔女まで登場する異色作。ラストには魔法を否定してしまう大決断。母の日には母子家庭、父の日には仕事に忙しい父と一筋縄ではいかないストーリー展開、登場人物にも継母との仲がうまくいっていない少年、心臓に持病を持っていて一時は危篤にまでなる少女、不登校の少女(みんなに囲まれて復学しかけるが、通学路の途中で帰ってしまうところで終わる)などがいて、主役の一人、大阪からやって来たあいちゃんは、離婚している両親の復縁を願っているが、父親の会社が倒産してしまうなど、それぞれに等身大の(しかし、こういうアニメとしては異様に重い)事情を抱えさせる社会派作品。おまけに事態の解決に魔法を使わないし、使っても役に立ってない(そもそも、魔法を使っているシーンが殆ど印象に残らない)、更に必ずしもハッピーエンドにならないのが素晴らしい。本当に大切なのは人の心、気持ちである、というテーマが貫かれているのだ。

 そして、6年生になった本作終盤では、今まで魔法でなく努力と根性で様々な問題に立ち向かい、問題は解決できないながらも、いろんな人に勇気を与えてきたどれみが、とてつもない悩みに直面させられる。卒業すれば、みんな離れ離れで自分は一人になってしまうという孤独感から自分のことを見つめ直し、自分だけが夢や目標を持っていないという将来に対する不安に怯えるのだ。そんな迷いを抱きつつ町をさまようどれみを描いた第40話「どれみと魔女をやめた魔女」(細田守監督、ゲスト声優が原田知世!)は、とても日曜朝に流す子供番組とは思えない驚異的な作品で、完全に魔女っ子もののレベルを超えてしまった実に恐るべき作品である。言っておくけれど、扱うテーマが重いからって評価しているわけではない。世間には、そういう風潮があるが、そもそも子ども番組なのだから、子どもが楽しく見られなきゃダメなのは大前提なわけで、この番組は、その大前提は楽々とクリアしている。面白く、楽しく、なおかつ重いテーマも扱いつつ、登場人物一人一人の心の動きを繊細に綴る大傑作。こういう番組こそ、子どもに見せたい、家族そろって見たいものだ。