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ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

地獄曼陀羅アシュラ ANJAAM

[監督]ラーフル・ラワィル [出演]マードゥリー・ディークシト、シャー・ルク・カーン  1993年

女神発狂。これが噂の超激辛リベンジ・ムービー!!

 いくらインド映画が長いと言っても、まずオープニングタイトルが出るまでに30分。こんな長いアバン・タイトル見たことないわ。その後、美人スッチーが酷い目にあいます。とにかく酷いです。スチュワーデスのマードゥリーは、ギャンブル好きの暴力義兄に稼ぎをみんな奪われるという酷い目にあっていました。おまけに、若き実業家カーン(『ラジュー出世する』でおなじみの二枚目スター)から執拗なラブラブ攻撃、ストーカーされまくりの日々。カーンから逃れて結婚したマードゥリーですが、嫉妬の鬼と化したカーンに旦那をブチ殺されたうえ、不義密通と殺人の無実の罪を着せられ刑務所行き。一人娘を姉に託して服役するマードゥリーですが、極悪義兄のせいで姉と娘は家を追い出されたうえ、なんたる偶然か、泥酔したカーンの車にはねられて呆気なく死亡。絶望するマードゥリーは、刑務所の極悪所長に政治家の夜伽を命じられますが、キッパリ拒否。お高くとまってんじゃねえよと集団リンチを受けたマージョリー、身ごもっていた子供が死んでしまいます。

 こんな具合に、大映テレビや昼ドラも真っ青の不幸と御都合主義の連続攻撃。これが3時間のうち2時間以上も続きます。そして、いよいよ彼女は「我慢するから虐待されるのだ」という真理に気付き(遅いっちゅうねん)「もう我慢できない」と復讐に立ち上がるのです。全国のいじめられている子供たちに聞かせてやりたい真理ですね。やられたらやり返す。必殺シリーズなら、大体22時40分頃、例のトランペットが鳴り響くタイミングですが、本作では、♪ 復讐の女神を称えよ~とかいう変な歌に乗ってとにかく痛めつけて痛めつけて虐殺です。ラブシーンを撮影できないからって踊りのシーンで愛を表現するインド映画ですが、殺しのシーンはいくらやってもOKみたいです。とにかく痛そうな殺陣です。首に縄をかけて引きずりまわし、壁に叩きつけて殺すとか、そんなもん序の口です。自分を酷い目にあわせた連中を、やられた以上の酷い目にあわせてなぶり殺し、次々と血祭りに上げていきます。

 この後、いよいよ大本命、本丸のカーンのところへ向かうわけですが、なんと、カーンは事故に会い、植物人間になっていたという驚きの展開が待っています。ここで突如感動のヒューマニズム映画と化した本作は、マードゥリーの懸命の看病、介護を、まるで24時間テレビのように映しまくるのでした。そして、ついに意識を取り戻すカーン……。さすが、仏教発祥の地インドの映画、こういうふうに締めくくるのね、と思ったら……さぁ、この後は、見てのお楽しみ。普通、復讐物を見るとスカッとするものですが、本作は、それだけでは済まない、何か重いものが残ります。そして、こんなに殺伐とした映画なのに、やっぱり歌って踊っているインド映画、奥が深すぎて、どんな顔して見たら良いのか分かりません。


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