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ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

殺人狂時代

[監督]岡本喜八 [出演]仲代達矢、天本英世  1967年

天本英世、やっていることはショッカーと一緒

 同じタイトルでもチャップリンの映画とは大違いのカルト作品。原作は都筑道夫の『なめくじに聞いてみろ』で、ストーリーは、仲代達矢と天本英世の殺し合いだけ。しかし映画というものは、ストーリーは単純で、ディテールに凝った方が面白いということを教えてくれる幻の名作です。

 精神病院を経営する死神博士こと天本英世の元を、かつてナチスで同志だったブルッケンマイヤーが訪れる。彼の所属する秘密結社は天本の組織する「大日本人口調節審議会」への仕事依頼を検討しているという。「審議会」は、ヒトラーに心酔する天本が、人口調節のために無駄と判断した人間を秘密裡に殺すという崇高な目的のもと、入院患者達を殺人狂の殺し屋に仕立て上げていたのだ。ブルッケンマイヤーは仕事依頼へのテストとして電話帳から無作為に選出した3人の殺害を要求した。殺害対象の1人として指名されたのは、水虫に悩む冴えない犯罪心理学の大学講師、仲代達矢。仲代は自宅アパートで「審議会」の刺客に襲われるが、偶然にも返り討ちにしてしまう。仲代はたまたま知り合った特ダネを狙うミステリー記者の団令子、車泥棒の砂塚秀夫とともに、仲代を狙う「審議会」の刺客達と対決することとなってしまう。一方、仲代にこだわるブルッケンマイヤーの言動に不審を抱いた天本は彼を拷問し、彼の目的が、8歳の頃、少年使節としてナチスの支配するドイツへ渡った仲代の肩に縫いこまれたダイヤ「クレオパトラの涙」にあることを探り出す。仲代は幸運に恵まれ、死神博士が送り込むショッカーの改造人間、ではなくてキチガイ殺し屋を次々と撃退するが、令子が天本に捕らわれてしまう。令子が捕らわれる病院に乗り込んだ仲代は、天本との一対一の決闘に挑む。

 崇高な目的のもと、人殺しの道具にされるキチガイ達が、次から次へと奇妙な武器で仲代を襲います。あのような奇妙な武器をキチガイが扱えるのかと思うほど趣向が凝らされた武器なわけですが、これを偶然と幸運で次々とかわす仲代。実に頭のネジが狂った映画です。都筑は、アクション映画は、ヒーローのキャラクターではなく、新しいアクションの段取りが命だという趣旨の発言をしていますが、まさにそのとおりの出来で、一瞬たりとも目が離せない快作に仕上がっています。とはいえ、基本的にはブラックユーモアの範囲内で収まっていて、そこが私なんかには、ちょいと物足りなかったりするわけですが、こんなにクールでドライな雰囲気、日本映画じゃなかなかお目にかかれません。また、精神病院のセットが、やたらと凝っていて、その中にたたずむ天本英世というビジュアルは、そんじょそこらの日本映画では味わえない素晴らしさ。ここで人口調節について滔々と述べられたら、誰だって、その思想にひれ伏してしまうに違いないカリスマ倍増装置になっています。もっとも、この思想そのものには、一も二もなく同意する私ではあるわけですが。それはともかく、原作を少々ひねったストーリーになっているので、既に原作を読んだ方でも十分楽しめます。キチガイ君大集合なので、テレビ放映されないのが玉に瑕ですが。



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