自分がサラリーマンになると、世間というのは、なんとアホらしいところかというのが身にしみて分かるわけです。どいつもこいつも脳みそ入っとるのか、物を考えたことあるのかって低脳だらけ。ストレスたまって過敏性大腸炎になってしまう(実話)。そんなときは鼻歌なんか歌っちゃう(カラオケは嫌い)わけですが、口をついて出るのは「シビビーン・ラプソディー」か「どびび~んセレナーデ」、ストレス過剰の場合は「死ね死ね団のテーマ」、さもなきゃクレイジーキャッツの歌ですね。あの破壊力満点の歌、素晴らしいですね。作詞は青島幸男。私は東京都民じゃないので青島幸男に何の恨みもないから手放しで誉めますが、あの人は天才です。そんな歌の世界がそのまま映画になりました。これは記念すべきシリーズ第1作にして最高傑作。
無責任男・平均(「たいら・ひとし」と読む)は、バーで太平洋酒乗っ取り話を小耳に挟んだので、太平洋酒のハナ肇社長に「乗っ取ろうとしてる奴がいますぜ」とチクッて総務部勤務が決定。初仕事で、大株主・松村達雄に成功、係長に昇進。新橋芸者でお姐ちゃんトリオ1号の団令子もコマしてウハウハ。しかし、バーのマダム、お姐ちゃんトリオ2号の中島そのみから、山海食品社長・清水元が松村の持株を手に入れたと知らされる。ハナは失脚、均はクビになるが、新社長就任パーティーに押しかけ、口八丁、手八丁で渉外部長に就任。女関係も、下宿に押しかけたお姐ちゃんトリオ3号の重山規子が、令子、そのみと恋のサヤ当てを始めて、パンツ履く暇もありません。北海物産・由利徹社長との取引のため、おピンク桃色フィルムとお座敷ヌードで攻略したところ、あまりのお下劣さのため、あっさりクビ。そんなとき、清水社長の娘、藤山陽子と駆け落ちをしていた、ハナ前社長の息子、峰岸徹と偶然出会った均は、陽子の居場所と引き換えに、清水社長にハナの復職を迫る。その結果、ハナは太平洋酒社長に復帰するが、一度裏切ったハナに永久追放される。しかし、1年後の峰岸徹・藤山陽子の結婚式に、均がとんでもない姿でやって来た!!
舌先三寸でスイスイ出世する植木等。ストーリーはそれだけ。なのに、この面白さは何でしょう。「弾けている」という言葉は、この映画のためにあるのだ!狂っているとしか思えない面白さ。この勢いはどこから来るものなのか、とにかくモーレツなエネルギーを感じます。天下無双のハイテンション。画面が切り替わると突然、何の脈絡もなく夜道で一人歌って踊っている植木等、しかも歌っている歌は「やせがまん節」(♪ あ~いやだいやだよ色男はつらい~、デイトデイトで寝るヒマもない~、たまに一人で飲んでりゃ~マダムに口説かれるぅ)、バツグンにイカしています。クレージー映画でもいつもと同じハイテンションの由利徹を桃色攻撃する場面は腹がよじれますよ。「日本映画は、じめじめしていてイヤ」と思っているあなた、この映画に関しては、そんな心配は一切無用。インドのマサラムービーどころの騒ぎじゃありません。とにかく日本人なら一度は見ておかなければならない大傑作。