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ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

悪魔の手毬唄

[監督]市川崑 [出演]石坂浩二、岸恵子、若山富三郎  1977年

むごい人とは分かっても……好きやった!

 横溝正史の作品は、非常にたくさん映像化されていて、主役の金田一耕助も多くの俳優によって演じられています。一般的には、映画なら石坂浩二、テレビなら古谷一行というのが定番でしょう。石坂浩二以降、原作を無視して男前が演じることが多くなった金田一ですが、どれもこれも石坂の二番煎じという感じでいただけません。個人的には、髪の毛をもじゃもじゃにして、もっと明るく演じていたら、片岡鶴太郎が最も原作に近いのではないかと思うのですが、いかがでしょう。それはさておき、映画で石坂金田一を生み出したのが、名匠、市川崑。その映像の美しさは、マリーム大好き岸恵子をして「日本のビスコンティ」と言わしめたほど。市川監督、石坂主演の金田一映画は、連続して5本作られましたが、中でも一、二を争う完成度を誇るのが、第2作である本作です。

 岡山と兵庫の県境、四方を山に囲まれた鬼首村。村は、昔から由良家と仁礼家の二大勢力に二分されてきた。由良家の娘、高橋洋子は、村に一軒の銭湯「亀の湯」の跡取りで、ジャニーズ事務所に反旗を翻したフォーリーブス北公次と結婚の約束をする仲であったが、仁礼家の娘で『特捜最前線』初代おやっさんの娘、永野裕紀子(兄貴はライオン丸)もまた、北公次に想いを寄せていた。ある日、ふたりの同級生、プリティ全開の仁科明子が、人気歌手となって凱旋帰郷してくるという。そして、仁科明子の歓迎会の翌朝、高橋洋子が冷たい滝の中で漏斗を口に突っ込まれるという屈辱的な死体となって発見され、草笛光子が大激怒。20年前の未解決殺人事件を調査するべく村に来ていた磯川警部と金田一耕助が捜査に乗り出すのだが、続いて第二の殺人事件が発生、怒り狂ったライオン丸が大暴れする。

 我が国最高峰とも言われる原作をアレンジして台無しにしてしまった『獄門島』とは異なり、かなり原作に忠実に描かれていること、前作『犬神家の一族』の豪華絢爛な煌びやかさとは逆に、渋くて落ち着いた色調が魅力的で、ファンの人気も高い逸品です。特に磯川警部を演じた若山富三郎がいい味を出しており、大人の映画の雰囲気を醸し出しています。ただ、岸恵子の強烈な若作りメイクはいかがなものか。若い頃の姿なら別の若い女優に演じさせればいいものを、本人に演じさせるこだわりの意味がよく分からない。市川監督は『病院坂の首縊りの家』でも佐久間良子に女学生時代を演じさせていたし、増村保造は『この子の七つのお祝いに』で岩下志麻にセーラー服を着せていたし、何か特殊な嗜好があるのだろうか。確かに画面のおぞましさを倍加させる効果は見事に担っているのだけれど、女優さん(と観客)にしてみれば罰ゲームに近いのではないか。本作の岸恵子の場合、サブリミナル映像のように一瞬映るだけなので、皆さん、お見逃しのないように。全然関係ないけれど、中山美穂って岸恵子に似てない?