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ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ブラック・マスク 黒侠

[監督]ダニエル・リー [出演]リー・リンチェイ  1996年

ヒーローは見た目も大切

 弁髪も凛々しい黄飛鴻役が印象的なリー・リンチェイですが、現代劇にだって積極的に出ております。ただ、主役を張るには致命的な背の低さと、普通の顔立ち(要するに、その辺にいる兄ちゃんみたいな容姿)が災いして、あんまりイイ作品に恵まれてないようです。『ロミオ・マスト・ダイ』しかり『ブラック・ダイヤモンド』しかり……『ヒットマン』もつまらなかった。大体あの作品、リー・リンチェイが主役ということすら疑わしいストーリー展開。悪徳日本人役で登場する佐原健二の演技と高層ビル最上階の社長室にししおどしのある庭がついていて、勇ましい日本軍の映画が上映されていて、芸者がはべっていて、社員は全員黒ずくめで拳銃携帯という国辱シーンが笑えたので許すが。とにかく、現代劇で主役を張るなら、素顔をさらしちゃダメだ、と思ったかどうかは知りませんが、今回は、その「普通の顔立ち」に怪しげなマスクをつけて登場です。

 近未来の香港。改造手術と洗脳を施された無敵の戦士による特殊部隊「701部隊」は、その存在を恐れた政府によって抹殺を図られたが、一部の者は逃れた。生き残りの一人、リー・リンチェイは図書館員として平穏な暮らしを送っていた。そんなある日、香港で4大マフィアが何者かに殲滅され、リー・リンチェイのなじみの香港警察のラウ・チンワン警部も襲われる。そこを全身黒ずくめに変装して救ったことから、リー・リンチェイは正義の人ブラック・マスクとして活動を始めた。彼は謎の敵が過去の自分と同じ701部隊の生き残りのパトリック・ロン隊長率いる一団と知る。一味の中には教官時代の教え子フランソワーズ・イップの姿もあった。フランソワーズに正体を知られたリー・リンチェイは危険を感じて図書館を辞めるが、敵の襲撃を受け、かねて彼に興味を抱いていた同僚のカレン・モクを巻き込んでしまう……。

 なんと痛感神経を切除されて無敵になったという無茶な設定の戦士の戦いを描く本作ですが、痛感神経の切除と「無敵」というのはイコールなのだろうか。ただ単に痛みを感じないというだけなら、やられても分からない、痛くないけど死んじゃった、というようなことで、決して強いわけではないと思うのだが……。そんな物語の根幹に関わることでも、突っ込み不要の香港映画ですから、純粋にアクションを楽しめばいいのですが、どうでもよくないのは、肝心のブラック・マスク。ブラック・マスクというとかっこ良さげですが、学ランみたいな服に学生帽みたいなのを被って、ボール紙で作ったとしか思えないマスクをつけたその姿は、ひょっとしてバットマンや、グリーン・ホーネットに出てきたブルース・リーの真似なのか、単に予算とセンスがないのか、サッパリわけが分かりません。同じ仮面のヒーローものでも、日本ロケもやった『シルバーホーク』のミシェール・ヨーとは大違いで、ハリウッド・デビューがうまく行くか行かないかで、こんなに差が出るのかと落涙必至です。


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