本文へスキップ

ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

王様のレストラン

[出演]松本幸四郎、筒井道隆、山口智子、鈴木京香、西村雅彦  1995年

「人生で起こることは、すべて、皿の上でも起こる」ミッシェル・サラゲッタ

 三谷幸喜の最高傑作は、映画なら『ラヂオの時間』、テレビなら『王様のレストラン』で決まりです。『古畑任三郎』の人気も高いのですが、ミステリファンの私に言わせれば一本一本の出来不出来の差が大きすぎる。パイロット版であり放映第2話「動く死体」が最高傑作で、後は回を追うにしたがってグダグダになってしまい……まぁ、それでも1stシーズンは良かったけれど、挙句の果てには売りであった田村正和の長台詞すらなくなってしまったので、人気が出て続編が作られるのも善し悪しだなぁと嘆息してしまう悲しい結末を迎えました。その点、本作はだれることなくスケジュールどおりの全11話を乗り切って、素晴らしい余韻を残してくれたので感謝感激です。

 天才的なオーナーシェフ中村嘉葎雄が急逝し、従業員の質が下がって客足が遠のいてしまったフレンチレストラン「ベル・エキップ」(La Belle Equipe)。後を継いだ長男、西村雅彦が、カラーひよこやベランダで飼える乳牛など、怪しげな副業にうつつを抜かしたため、店の経営は更に危うくなる。そんなある日、先代の妾腹の息子、筒井道隆が突然来店、遺言によりオーナーになると言う。とは言え、会社勤めの経理マンだった彼にレストラン経営は荷が重く、父の遺言に従って、かつてその店に勤めていた伝説のギャルソン、松本幸四郎を給食センターから呼び寄せるのだった。やる気のないシェフ(山口智子)に西村の愛人で元ホステスのバーテンダー(愛人顔の鈴木京香)、博覧強記で協調性のないソムリエ(白井晃)、ドスケベの給仕長(これでブレイクした小野武彦……昔と随分イメージが変わったなぁ)など曲者の従業員達と、次々に起こる厄介な事件。果たして「ベル・エキップ」は復活するのか?

 とにかく全員キャラが立ちまくりで、それぞれに見せ場、名セリフ、名シーンがあり、連続ドラマでありながら、主要登場人物が交代で主役を張る単発ドラマとしても十分楽しめる完璧な構成。まるで山田風太郎の連作短編方式です。もともとが舞台の人なので、基本的には短編作家でシリーズモノには向かない資質を持つと思われる三谷の、これは奇跡的な傑作である、と断じてしまいましょう。出演者の魅力も大きく、主演の松本幸四郎もさることながら、山口智子のオーラが際立って炸裂しています。なんと言うか、これぞ山口智子!これ以上はない山口智子!という山口智子が見られます。とにかく必見の大傑作。ちなみに、主題歌「Precious Junk」を歌っていたのは、今をときめく平井堅(これがデビュー曲で、今とは全然芸風が違う)だったりするので、ここも要チェック。