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ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

カノッサの屈辱

[出演]仲谷昇  1990年

ようこそ、私の研究室へ

 世間の事象を現実の世界史、日本史になぞらえて説明するフジテレビの深夜番組。どんな内容かを第9回「古代エーゲ海 アイドル帝国の興亡」を例に御説明いたしましょう。

 アイドルの歴史、即ちそれは古代エーゲ海におけるギリシャ・ローマ文化の定理になぞらえることができる。1971年、天地=マリウスの出現によってアイドルの歴史が始まり、南シンシア、小柳ルミウスらとともに「第1回アイドル三頭政治」を開始する。1973年スター誕生の制度によって、淳子、昌子、百恵による「第2回三頭政治」が始まるが、その翌年、ホメロスの神話に登場している狼の乳を飲む双生児ミイとケイ、すなわちピンクレディが誕生、アイドル帝国に史上類を見ない繁栄をもたらす。しかし、1978年からの2年間はアイドル暗黒時代といわれ、この機に乗じてニューミュージック帝国の勢力が、歌唱力と強い自己主張を武器にアイドル帝国への侵略を謀る。更に1979年、山口百恵が引退、その翌年にピンクレディが解散とアイドル帝国は絶体絶命の危機に陥るが、クレオパトラ聖子の登場により、大きく歴史が動く。17世紀のフランスの哲学者パスカルに「彼女のプライドがもう少し低かったら、その歴史は変わっていただろう」と言われた彼女は、呉田軽穂をはじめとするニューミュージック勢力を登用することによってアイドル帝国を統一したのである。彼女の登場以降、アイドル達の間に他のメディアとの同盟によってデビューする傾向が表れるが、数学者ピタゴラスは、このデビュー傾向をひとつの定理に纏め上げていた。以前は、アイドルの収益方式はレコードセールス=アイドルセールスと至って単純であったが、1984年以降、レコードセールスの2乗+CM出演料の2乗=小泉今日子の2乗、すなわちキョンキョンという完璧な公式が出来上がったのである。これが歴史に名高いアイドル三平方の定理である。後のおニャン子クラブも、この定理から導き出されたアイドルであるが、1988年にロック民族の大移動が始まり、今再びアイドル帝国は存亡の危機に曝されている。

 いかにバカバカしいかお分かりいただけましたでしょうか。私は、ビール会社による覇権争いを幕末になぞらえた第8回「幕末ビール維新」(キリン麦府とか新鮮組一番搾りとか生ビールにまつわる「生(なま)類あわれみの令」とか)が好きだったのですが、他にもダジャレと今でいうコラ(「いかにもそれらしく作られた偽造画像」)が氾濫し、いかにもバブル期といったにおいがプンプンする番組でした。企画したのはバブルの申し子、『私をスキーに連れてって』『彼女が水着にきがえたら』『波の数だけ抱きしめて』といった軟派低能映画でおなじみのホイチョイ・プロダクションズ。そんな連中が、教育番組のパロディを狙ったのですが、タイトルが何故「カノッサの屈辱」なのかは意味不明。そもそも、カノッサの屈辱とは、聖職叙任権をめぐってローマ教皇グレゴリウス7世と対立していた神聖ローマ皇帝ハインリヒ4世が、1077年1月25日から3日間、教皇による破門の解除を願って北イタリアのカノッサ城に赴いて許しを願った西洋史上の重要事件で、番組内容とは全然関係ありません。関係あるとすれば、こんな番組に起用された仲谷昇の、舞台俳優としてのキャリアが汚されたという屈辱くらいでしょうか。しかし、こういうバカバカしい番組は、それなりに重みがなければ目も当てられないので、服部克久による大層なテーマ曲(ただし番組専用ではない)と、仲谷の起用は大正解。さすがの貫録で、ホスト(教授)役を務めました。でも、『巨獣特捜ジャスピオン』に変な格好で出たりもしているし、岸田今日子の旦那さんだった人だし、特に屈辱でもなかったのかも知れない。



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