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ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

バットマン オリジナル・ムービー BATMAN

[監督]レスリー・H・マーチンソン [出演]アダム・ウェスト、バート・ワード  1966年

荒唐無稽の楽しさ、バカバカしさを愛する人に捧ぐ

 いくらスタイリッシュでオシャレで渋いからってティム・バートンとかクリストファー・ノーランとかが撮った暗い暗い映画なんか見てちゃダメ! ヒーローは勧善懲悪、明朗快活でなければなりません。特にアメコミのヒーローはこうでなくっちゃ! うじうじ悩んでいるスパイダーマンなんて、ヒーローの風上にも置けませんよ。本作でのバットマンは、無意味にカッコよく、能天気で独善的で無責任!アメ公の精神構造に忠実にのっとった作風だね!

 航行中のタンカーからSOSを受け、空港にサイドカーで急行。空港からは、蝙蝠の羽が付いたイカス「バットコプター」で出動だ! あっという間にタンカー上空に到着したバットマンは、「バット梯子」で颯爽と突入……したと思いきや、タンカーはホログラフィで、バットマンは哀れ海の中へドボン。水も滴るイイ男、なんて言ってる暇もなく、鮫に噛みつかれて大ピンチ。しかし、必殺の「サメ撃退スプレー」で九死に一生を得たのだった。これらは全部、バットマンの宿敵、ジョーカー、ペンギン、ミス・キャット、ナゾラーが、怨み骨髄のバットマンを片付けようと企んだことだった。彼らは、人間の体内から水分を奪い、人体を粉末と化す超科学で、世界首脳会議を襲おうとしていたのだ。バットマンは、この悪だくみを粉砕し、鮫に噛まれた恨みを晴らすため、戦いに赴くのであった!

 ものすごく大げさ、大風呂敷、大ボラ、そして、どんな知能指数でも楽しめる公平で平等で民主的な分かりやすさ(要はバカ)、これまたアメ公の特徴だ! 殴ったり蹴ったりすれば、アクションに合わせて擬音が飛び出るなど、ポップでキッチュな画面にバットマンとロビンが大活躍です。悪役たちにも陰なんか微塵も感じられず、『ヤッターマン』のドロンジョ一味のように、明るく楽しく悪事に励んでいます。その甲斐あってか、世界首脳粉末化計画が、なんと一時は成功してしまうのである! 意志あるところに道は通ず、頑張れば必ず報われるという教訓が込められた素晴らしい展開ですね。しかし、悪が栄えたためしはないということで、最後はバットマンによって邪魔されてしまうのですが、このときバットマンが採った大胆な解決策とは……。あぁ、ここから先は自分の目で確かめてほしい。これに驚かない人は人間ではありません。絶対に日本人にはできない発想です。いや、こういう精神構造こそ原爆を落としておいて、いけしゃあしゃあと正義を語る、あるいはグローバル・スタンダードと称して自分のやり方を押し付ける図々しいアメリカの象徴だと痛感しちゃった次第であります。まぁ、そんな難しいことを考えなくても、バカ笑いして済ませばいいんです。同じように、鯨を食うな! なんて言われても鼻で笑ってやればいいのです。広川太一郎の軽快な二枚目演技も安定感抜群で、最高品質のアメリカン・ヒーロー・ムービーと言っていいでしょう。


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