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ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

恐怖劇場アンバランス

1973年

心臓の弱い方、お一人で御覧になる方は、この『恐怖劇場アンバランス』はご遠慮ください

 第12話(制作第1話)「墓場から呪いの手」。会社の帳簿に大きな穴を開けてしまった山本耕一。それを牧紀子に気付かれた山本は紀子を始末する。マンション自室の浴室で、紀子の遺体を包丁で切断、バラバラにして油紙にくるみ、川へ、そして山中へと捨てる山本。大忙しのゴミ捨て作業に疲れ果てて部屋に戻ると、窓が不自然に開いていたり、突然ブザーが鳴ったり、無言電話がかかってきたりと怪現象が続く。川崎敬三に相談することもできず、一人でビビる山本。一方、深夜の河原でいちゃついていたカップルは、謎の包みを発見する。そこから出てきたのは、切断された手だった。車に逃げ込むカップルだが、男が「手」に絞殺され、車中から紀子の指紋が発見される。そして、「手」は、ついに山本に辿り着く。眠っている山本めがけて忍び寄る「手」。首を絞められて目を覚ました山本は、ビビりながらも「手」を窓の外へ投げ捨てる。友人の医師から、「人間は死んでも、部品はそれだけでもしばらくは生きている」と余計なことを教えられ、山本はあの「手」が紀子の「手」であることを確信する……。

 というわけで、この円谷プロ製作による恐ろしいドラマ、御覧になった方はいらっしゃいますか?円谷プロだからって宇宙人だのなんだのが出るわけじゃなく、それどころか特撮もほとんど使われないホラーのオムニバスなのですが、制作当時、あんまり怖いというのでオクラ入りになったいわくつきの作品です。とは言え、ホラーが怖すぎるからダメだと言われるのも変な話ですし、既に子供向け作品として『怪奇大作戦』なんて恐ろしい番組を作っていた実績もありますから、単に渋すぎてキャッチーじゃなかっただけだと思われます。今見ると前衛的な雰囲気さえ漂って、何とも言えないムードを醸し出しております。あらすじを御紹介した「墓場から呪いの手」は、『フランケンシュタイン対地底怪獣』の切断右手も真っ青の気持ち悪い特撮が楽しめる佳作で、同系統の第9話「死体置場(モルグ)の殺人者」あたりがキャッチーでお薦めです。

 このような怪談ばかりかと思いきや、正統派吸血鬼もの「吸血鬼の絶叫」をやったかと思えば、仁木悦子の「猫は知っていた」とか松本清張の「地方紙を買う女」なんてミステリ(にしても全然違う毛色のものだが)や、梅津栄主演のシュールな不条理ドラマ「サラリーマンの勲章」、西村晃が浅川マキの歌にのって朝靄の中を踊る「夜が明けたら」なども印象深い作品です。監督に鈴木清順、藤田敏八、神代辰巳、主演に大和屋竺、蜷川幸雄、唐十郎を連れてくるなど、好き者の心を揺さぶる、まさにアンバランスなラインナップが充実です。猫のシルエット画像(バックは『ウルトラセブン』オープニングの、あの画像)に乗って流れる冨田勲作曲のタイトルテーマが、また美しく恐ろしくて素晴らしいので、夏の夜には是非!



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