多岐川裕美。女優。『ウルトラセブン』のソガ隊員の元奥さんで、『ウルトラマンメビウス』のリュウ隊員の元奥さんのお母さん。最近では、『鬼平犯科帳』の久栄役で、しっとりおっとり和風な奥様を演じています。『俺たちは天使だ!』のヒロイン、YUKO役も懐かしいですね。しかし、人に歴史あり。アイドルとして鳴かず飛ばずだった彼女は、こんな映画で本格的スクリーンデビューを果たしていたのです。まぁ恥ずかしい。
修道尼だった母の死因をつきとめるべく修道院に潜入した多岐川裕美。修道院には、修道女たちから大変人望のある司祭の渡辺文雄が訪れていたが、実は渡辺は院長とバコバコハメハメで、修道院の金を二人でポッポナイナイする悪い奴。そんな渡辺は、院長の豊満すぎる体にも飽きてきたので、ローマから新副院長を呼び寄せ、魔女狩りを開始し、院長の引責辞任を画策していたのだった。さて、そんな院長室に忍び込んだ裕美は、裕美の母が心臓麻痺で死亡と書いてあるノートを発見。母の死の真実に一歩ずつ迫っていく……。
エロティック・バイオレンスです。ポルノです。ストーリーもかなり悪趣味で、ラストの放ったらかし感には唖然としてしまいます。監督は『トラック野郎』シリーズの鈴木則文です。『徳川セックス禁止令 色情大名』、『温泉スッポン芸者』、『エロ将軍と二十一人の愛妾』の鈴木則文です。多岐川裕美は思いっきり脱いでいます。ソフトとは言えないベッドシーンもあります。おまけに素っ裸に茨で縛られて、鞭で打たれたりなんかしています。そんな映画です。確かに、いくら可愛くても、台詞は超棒読み、おまけにロンパリなので表情もイマイチ分かりにくい新人女優主演の映画になんて、裸でも見せないことには誰も振り向かないのでしょう。おまけに多岐川は、そんなにナイスバディというわけでもなく、その裸だけでは不足と見た鈴木監督は、他の女優にも頑張らせました。『新・ハレンチ学園』の十兵衛役で主演デビューしたかわいこちゃん渡辺やよい、『番格ロック』や『ネオンくらげ 新宿花電車』主演のグラマー山内えみこでガッチリ両脇を固めます。更に、エロでグロだけではいかんということで、三原葉子に相変わらずの活躍をさせ、たこ八郎まで連れてきて無理やり笑いを入れたりもしています(でも焼け石に水)。一番笑えるのは、お決まりのレズ要員の外人女優なのですが、この人の芸名(だろうな、まさか本名ではあるまい)がマリー・アントワネットってところでしょう。というわけで、なかなかに悪趣味でグーな映画です。