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ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ザ・ハングマンU

[出演]黒沢年男、名高達郎、夏樹陽子、沖田さとし、植木等、山村聰  1982年

俺たちの得たもの、年俸4000万。失ったもの、人並みの幸せ

 春夏秋冬、季節は巡る。月火水木、仕事に通う。朝昼晩の食事を作る。世の中いつもの繰り返し。表の世界はそう見える。表があれば、裏がある。裏の世界の出来事は、人の予想を上回る。影に潜んだ悪党どもを、あの手この手のからくりで、表の光に曝け出す。それが俺達、ハングマン

 というわけで、法の網の目を逃れて暗躍する悪人たちを社会的に抹殺していく物語。現代版『必殺』などと言われるけれど、命を奪わずに社会的に抹殺するというのが残酷度を増していてグー。もっとも『必殺仕置人』初期にも、盲にしたうえ心中の片割れにして晒すなどという極悪な仕置きがあったので、その正統な後継者と言えるかもしれません。『ザ・ハングマン 燃える事件簿』として始まった当初はハードボイルド路線まっしぐらで、主役のブラック(林隆三)は大物政治家に轢き逃げされて植物人間になった妹の治療費を得るためにハングマンになったという経歴の持ち主。初期メンバーは全員が重い過去を背負った元警官で、自ら死人となって活動しているわけだけれど、さすがに話が重すぎたのか、ブラックは植物人間の妹の臓器密売に関わった医者を殺し、仲間一人を巻き添えにして爆死するという救いも何もない結末を迎え、番組後半はマイト(黒沢年男)がリーダーとなる。マイトは強盗に妻子を殺され、悪を憎むあまりに、いつも持ち歩いているニトロをちらつかせて自白を迫る強面キャラだったのに、途中参加の堅物デジコン(名高達郎)との対比か、黒沢がだんだんと軽い芝居を見せるようになり、独特の味を出すようになったのだった。

 ストレートな続編として制作された本作では、犯人の処刑場に被害者の家族を招待するという、現実を先取りした被害者目線を取り入れているのもさることながら、エスカレートするハンギング方法が見もの。クイズ番組の解答者席に長塚京三と佐原健二を座らせ、真実を答えないと電流を流すとか、手術台に名和宏を縛り付け、マイトが白衣にコック帽、両手に出刃包丁を持って拷問するとか、もうやりたい放題。でも、ラストでは二人の殉職者を出してキッチリ渋く締め、娯楽作として頂点を極めたと思われる名作である。

 その後は何故か名高が主役となり、次々に続編が作られたが、黒沢と植木等が抜けた穴を埋めることはとうとうできなかった。天知茂が二代目ゴッドを演じた(ほとんど出てこなかったけれど)『新ハングマン』、若い佐藤浩市がいい味を出していた『ザ・ハングマン4』まではともかく、山本陽子主演「闇に舞う蝶、パピヨン」の『ザ・ハングマンV』で主婦がパートでハングマンをやるようになってから、例によって例のごとく、どんどんアホ路線をひた走るようになり、『ザ・ハングマン6』でハンギング方法のテストをするために雇われるモルモット小父さん(稲川淳二)の登場でとどめを刺され、名高のスキャンダルによる降板、悪足掻きの『ハングマンGOGO』でシリーズは終わってしまう。どうして山内久司制作の作品は、みんなこんなふうになっていくのだろうか。必殺シリーズしかり、京都妖怪地図シリーズしかり、女捜査官シリーズしかり……大衆に迎合するしか能がない、あるいは上手く迎合すらできない奴ということなのでしょうかねぇ。



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