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ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

危いことなら銭になる

[監督]中平康 [出演]宍戸錠、長門裕之、草薙幸二郎、浅丘ルリ子、左卜全  1962年

メッサーシュミットKR200の実車が見られる貴重な邦画

 紙幣印刷用のスカシ入り三叉紙10億8000万円相当が盗まれた。このニュースを聞いてニヤリと笑ったのは凄腕の拳銃使いのくせにガラスを擦る音が弱点の事件屋・ガラスのジョー、「計算どおり」が口癖の桑田佳祐もとい長門裕之、何かあったらダンプで突っ込む草薙幸二郎。3人は、次に狙われるのが偽札作りの天才エロジジイ左卜全だと踏み、天才エロジジイの身柄を確保して強奪犯と取引しようと画策するが、郷鍈治に横取りされて見事に失敗。ジョーは、ひょんなことから仲間に加わった柔道二段、合気道三段のカワイ子ちゃん、浅丘ルリ子とともに巻き返しを図るが、長門や草薙は抜け駆けしようと勝手に動いて事態は二転三転。一方、天才エロジジイは、キャバレーの地下室でガラス張りの天井越しにダンサーの尻見てせっせとお仕事中……。

 「子曰く君子危うきに近寄らず。俺曰く、やばいことならゼニになる!」のタイトルコールの後、♪ 誰が~あたしを~殺すのかしら~なんて陰鬱な歌(歌うは大橋巨泉の元妻、マーサ三宅)をぶちかまされて暗い気分になりますが、中身は昭和30年代の懐かしい町並みに展開するスピーディなアクション・コメディ。脚本が、後に『ルパン三世』TV第1シリーズ第1話を書く山崎忠昭だからか、主役4人組のキャラクター配置をはじめ、いろんなところにルパンぽさが感じられて面白いが(ジョーの乗っている車は「魔術師と呼ばれた男」でパイカルが乗っていたのと同じメッサーシュミットKR200だし、オチは「罠にかかったルパン」でパクられた)、原作は都筑道夫の『紙の罠』。宝田明の『100発100中』といい、小林旭の『俺にさわると危ないぜ』といい、仲代達矢の『殺人狂時代』といい、三橋達也の『国際秘密警察 絶対絶命』といい、都筑原作の映画にハズレはありませんねぇ。

 軽妙な演技がナイスな錠、桑田佳祐にしか見えない長門、若い頃があったこと自体が驚きの名バイプレーヤー草薙(『特捜最前線』で息子=星雲仮面マシンマンに拳銃を奪われる警官を演じた第261話「ニューナンブ38口径!」は良かったですな)の主役トリオもさることながら、とにかく浅丘ルリ子のカワイさが尋常ではないのである。浅丘といえば恐怖の激痩せ頬骨変なメイク(少女画家の中原淳一が薦めたメイクらしいが、趣味が悪すぎる)のバァサンというイメージが一般的でしょうが、この頃はもぉとにかくぷくぷくしちゃっていてチャーミング以外の何モノでもないのである。しかも役柄が、パリで空手教室を開くためにせっせと貯金するチャキチャキの女子大生と来た日にゃ、こりゃもぉタマラン。同じ日活映画でも、他の作品だとヒロイン然としていて乙に澄ましていますが、ここじゃあ全然違いますよ。このルリ子ちゃんだけでも見る価値アリの傑作です。


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