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ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

酔いどれ博士

[監督]三隅研次 [出演]勝新太郎、江波杏子、林千鶴、小林哲子、東野英治郎  1966年

気つけ薬は焼酎で、手術道具はドス一丁!

 スラム街のドヤで花札と酒に浸る勝新太郎。しかし、この映画はドキュメンタリーではない。彼は血気盛んなため、パンツの中に葉っぱを入れたまま傷害事件を起し、このドヤ街に流れついたのだった。ある日チンピラ・平泉征の弾丸摘出手術をしたのを機に、ムウ帝国皇帝小林哲子とミヤコ蝶々を看護婦にして、医院を開業することになった。彼は、胸を病む貧しい小林幸子や足を洗いたがっている平泉征のために一肌脱ぎ(葉っぱの入ったパンツは履いたまま)、悪党どもに鉄挙制裁を加えてスラム街に明るさを取り戻す。しかし、そんな彼を、無免許医ではないかと疑う警官、東野英治郎がいた……。

 義理と人情をテーマに、ドヤ街で生活する人々のたくましさや心の交流を、アクションあり、笑いあり、涙ありの温かい人間ドラマとして見せる、これぞ日本映画だなぁって感じの作品。脚本は新藤兼人です。正直言って、勝新太郎ってアクが強すぎて好きな俳優ではないんですけどね。私が全盛期に乗り遅れた世代だからかも知れませんが、代表作『座頭市』もそんなに好きじゃないし、『悪名』シリーズだと勝新よりも田宮二郎の方に目が行っちゃって、あんまり印象に残らないし。実兄の若山富三郎の方が、『子連れ狼』の拝一刀のようなバイオレンス爆裂のキャラクターから『緋牡丹博徒』の「ちょび髭の熊」こと熊山虎吉親分や、『悪魔の手毬唄』の磯川警部など親しみやすいキャラクターまで演じる器用さを持っていて、役者としては上のような気がします。勝新は、ちょっと異常というか、普通じゃない人って役作りや、リアルにしすぎてセリフが聞こえないといった特殊な演出に賭けていたようなところがあって、一般的には受けないタイプの俳優だと思うんですけれど、こういう、ぶっきらぼうな役をやらせると本当に上手い。心優しく不器用な無免許医という、ありがちと言えばありがちなキャラクターを味わい深く演じています。

 評判も良かったのか、またまたスラム街に現れて、事件に巻き込まれる続編『続・酔いどれ博士』では、若者の精力発散のために健全なセックスハウスを作ろうと奮闘する清川虹子や、看護婦役の樹木希林の怪演で、ゲテモノ感増量で好評を博します。更に、雪のラストシーンの叙情が素晴らしいけれど、舞台が港町になって、渡り鳥シリーズと変わらない気もしてしまう『酔いどれ波止場』まで、全3作が作られました。お話はどれも同じようなもので、ワンパターンといえばそうなんですけど、安心して見られる良質な日本映画です。



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