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ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

狼男とサムライ LA BESTIA Y LA ESPADA MAGICA

[監督]ハシント・モリナ [出演]ポール・ナッチー、天知茂、朝比奈順子、藤陽子  1983年

天知茂,最後の映画主演作品

 ポール・ナッチーは、狼男バルデマル・ダニンスキーに扮した狼男映画シリーズで1970年代に人気を博し、以後もホラーを中心に90本を超えるジャンル映画に出演している狼男俳優。狼男の他にもドラキュラ伯爵、せむし男、ミイラ男などの古典的モンスターを好んで演じたことから、スペインのロン・チェイニー・ジュニアと呼ばれ、スペインのホラー映画界に君臨する(らしい)おっさんなのですが、こいつが脚本・監督を務め、我が国が誇る探偵の中の名探偵、天知茂を騙して(?)共演、金まで出させたという脅威の映画です。

 16世紀後半のイスパニア。魔女の逆恨みによって「子々孫々、7代目ごとに生まれる男は皆、満月の夜に血に飢えた獣となり死をまきちらす」という意外と気の長い呪いをかけられた一族の末裔、ナッチーは、呪いを解く鍵が日本にあると知り、美女二人を引き連れ(理由は不明)、はるばる京都の医学者、天知茂を訪ねる。おかげで京都では満月の夜ごとに惨殺死体が転がる始末で大迷惑。天知茂はナッチーを何とか治療しようとするものの、一緒に露天風呂に入って女忍者に襲われたり、知らぬ間に妹をナッチーにヤラれたり、叔父が洛中警備の責任を問われて切腹させられたりと、親戚一同大迷惑。おまけに狼男退治の銀の刀は悪霊と戦わないとゲットできないというRPG状態。医学者のくせに滅法強い天知茂は悪霊たちとの死闘ののち、ついに刀を手に入れるが、ナッチーを愛してしまった天知の妹が刀を横取り、ナッチーをぶった斬ることで呪いから解放しました。「すべては終わった……狼男は最早この世にはいない。この悲惨な出来事は永遠に語り継がれるに違いないだろう。だが、あの恐るべき野獣が我々の前に姿を見せることは二度とありえないだろう」でめでたしめでたし。と思いきや、天知の妹は、きっちり妊娠しており、呪いは続いていたのだった……。

 あまりにも無茶苦茶な展開で、アレヨアレヨという間に見終わって呆然としてしまう映画。天知茂がいつものように眉間に力を入れて頑張っているのが見る者の涙を誘います。やっぱり時代劇のときはヅラの上にヅラを重ね着しちゃったりしているのかなぁ、なんて不埒なことを考えてはいけません。スペインからやってきた狼男と同じフレームに収まっても、顔の濃度じゃ負けていません。さすが新東宝で鍛えただけのことはある胡散臭さ。でも、二重ヅラ(推定)で露天風呂でセクシー裸女忍者とアクションまで披露したときはハラハラしちゃったぞ、別の意味で。これが最後の主演映画になるなんて不憫すぎる。しかし、天知茂は何故こんなアホ映画の製作に関わっちゃったのだろうか。前年に土曜ワイド劇場5周年記念作品として製作された『第三の女』でスペインロケをやってナッチーと共演した時に変な薬でも飲まされたのだろうか。おかげで、どえらい借金を抱え込み、日本じゃ公開されずじまい、今じゃ、うらぶれたレンタルビデオ屋の隅っこで廃棄される日を待つだけという作品なのに。こういうゲテモノに関わってしまうのは、天知茂にかけられた新東宝の呪いなのではあるまいか。


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