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ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

狂い咲きサンダーロード

[監督]石井聰亙 [出演]山田辰夫、中島陽典、南条弘二、小林稔侍  1980年

街中のやつら、全員ぶっ潰してやる

 幻の街サンダーロードで開催される重大会議に暴走族の頭たちが続々と集まってきた。彼らは、規制の厳しくなる新道交法施行を機に休戦協定を結んで「エルボー連合」を名乗り、「愛される暴走族」(って誰が愛するんだ?)への方針転換を図っていた。だが、極悪集団として恐れられた「魔墓狼死」の特攻隊長・山田辰夫一派は、解散動議には耳も傾けず暴れまくり、「エルボー連合」との抗争は激化していた。そこへ「君が代」のメロディーとともに(本人としては)カッコよく割って入った男こそ、「魔墓狼死」のOBであるホモ野郎、小林稔侍だった。「スーパー右翼・国防挺身隊」を率いる稔侍は、そのカリスマ性と無軌道さと若いケツに惚れ込んで辰夫達を奪い去る。仲間のうち、茂はスーパー右翼と稔侍の肉棒に順応するが、辰夫は嫌気が差して脱退し、その結果、エルボー連合、スーパー右翼双方を敵に回すことになる。襲撃を受けてバイクに乗る手段を絶たれ、仲間も失って孤立無援になった辰夫は、ひたすら憎悪を募らせて町をさまよううち、イカすシャブ中少年、小太郎と出会う。辰夫は、小太郎を通じてマッドボンバーの「オッサン」に銃器調達を依頼し、全身真っ黒なバトルスーツに身を包み最後の戦いに挑む。

 山田辰夫が少ない語彙で知能指数の低さを見事に表現した、石井聰亙監督の日本大学芸術学部の卒業制作作品。「てめー」とか「このやろー」とか、とにかくヤケクソに叫んでいる印象しかないあたりが素晴らしい。そりゃあ南条弘二はイケメンで女とヤリまくりなんだから暴走族なんかやってられねぇわってなるのも分かるけど、それに振り回される(おそらく)女なんかとは縁もゆかりもない山田辰夫は叫びまくるしかないわな。おまけに小林稔侍にケツを狙われるとなれば、暴れる以外に選択肢がないどん詰まりの青春。それを一層煽り立てるのが、前面にフィーチャーされた泉谷しげるのヤケクソな歌なのだが、泉谷は美術まで担当しているらしい。何度見返しても、そんな立派な「美術」などというものは見当たらないのだが、一体何を担当したのだろうか。それはともかく、大抵のヤングボーイなら共感しまくれる青春映画です。しかし、小林稔侍って仕事を選ばないわね。て言うか、選べるほどの演技力はないけど、最近はやたらめったら主演作品も増えて、不細工で大根な息子と娘もごり押しで出演させて、もうウハウハやんか。人生って分からないもんだなぁ。

 それはさておき、一番カッコいいのは、後半に突如現れる小太郎なのである!見てくれは頭の悪そうなクソガキだが、すぐにでも看護師になれる腕前でシャブをセルフサービス、おそらくは股間も一人前で、暗黒街の裏の裏まで通じた意外な大物。赤いスイングトップジャケットで決め、シケモク咥えた姿は往年の日活アクションスターをも彷彿させる風格で、多分童貞の山田辰夫のヘタレ具合を増幅させるのであった。おまけにラストには美味しいところを一人でかっさらい、山田辰夫が哀れでならない。まぁ、そのおかげで、どこにも居場所を見つけられなかった若者の自滅していく姿が鮮烈に目に焼き付けられるわけですが。小太郎を演じたのは大森直人という子供ですが、本作出演で真っ当な道を踏み外したのか、他所で見かけることはありません。



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