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ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

吸血蛾クレア THE BLOOD BEAST TERROR

[監督]ヴァーノン・ソーウェル [出演]ピーター・カッシング、ロバート・フレミング  1968年

怪異蛾女の吸血大パーティー

 ホラー映画というものには、それなりの重々しい雰囲気というものが必要不可欠である。その点、この映画は19世紀半ばのイギリスを舞台にしており、実になんとも素晴らしい雰囲気を醸し出している。発端は、昆虫学を学ぶ2人の学生の無惨な死。しかも、2人とも鋭い爪で喉を引き裂かれた上、体中の血が抜き取られていたという、いかにもな展開。事件を捜査するのは、なんとフランケンシュタイン男爵やヴァン・ヘルシング博士役でおなじみ、クリストファー・リー、ヴィンセント・プライスと共に戦後の三大怪奇スターの一人と称されるピーター・カッシング!彼は、被害者達に昆虫学を教えていた教授に不審を抱き、捜査を開始する……。

 ここまでやってくれたら、さぞかし大傑作だろうと思うのが人情というもの。しかし、この後、映画は仰天の展開を見せるのである。実は、この教授、キ○ガイ博士で、自分で作り上げたモンスターと一緒に暮らしていたのだ。このモンスター、普段は美しい娘なのだが、腹が減ると駄々をこねて人間の生き血を吸いに行く恐怖の蛾女だったのである。そもそも教授は一体何のつもりで、こんな化け物を作ったのだろうか。蛾女を使って社会に復讐しようとか混乱を巻き起こそうとかしたわけでなし、内緒にしているくらいだから自分の能力を世に知らしめようとしたわけでもなし、ダッチワイフ代わりに作ったわけでもなし、目的がまったく分からない。まぁ、作って一緒に暮らすのはいいけれど、「あたしのピローフレンドの蛾男も作りなさいよ!」なんて命令されているくらいで、創造主の威厳も何もあったものではない。ただ作りたかっただけで、後のことはどうでもよろしいというのが、純粋に科学を追求するマッドサイエンティストってものなのかも知れませんが、それにしたって、何のメリットもない。

 大体、普段は美しい女で、男をたらしこんだり、警察に捕まらないように策をめぐらすなど、高度な知性を見せるのに、腹が減ったら蛾になって血を吸いに行き、吸った後は放ったらかしというのは、ウルトラマンに出てくる宇宙人が等身大のときはやたら知恵が回るのに、巨大化した途端、原始的な殴り合いを始めてしまうのによく似ている。その上、この蛾女の着ぐるみがチープそのもので、初期ショッカー怪人の足元にも及ばず、ある意味で日本を代表する暗黒映画『花嫁吸血魔』に匹敵しちゃうのである。あまつさえ、その最期は哀れというか、見ているこっちが哀れというか、余韻とかなんとかいったものとは縁もゆかりもなく終わっちゃうのである。正に珍味のホラー映画。蛾女の最期は是非、あなた自身の目で確かめていただきたい。



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