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ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

戦国自衛隊

[監督]斎藤光正 [出演]千葉真一、渡瀬恒彦、夏八木勲  1979年

歴史は、我々に何をさせようというのか?

 千葉ちゃんを隊長とする陸上自衛隊員は、裏日本で行なわれる大演習に参加するために目的地に向かっているとき「時空連続体の歪み」によって400年前の戦国時代に補給地ごとタイムスリップしてしまった。成り行きで、のちの上杉謙信となる夏八木勲に加担した彼らは、近代兵器の威力で当然ながら大勝利。普段から愚劣な大衆に白眼視されていた鬱憤を晴らしてゴキゲンな千葉ちゃん率いる自衛隊は「歴史がなんだっていうんだ。俺たちが歴史を書きかえるんだ」と近代兵器を駆使して戦いまくるが、近代兵器最大の弱点ガス欠に至り、隊員も次々と戦死してションボリ気味。元の補給地に戻って再びタイムスリップするのを待とうと進言する残存隊員と野望に燃える千葉ちゃんとの間に絶対的な溝が生じていた頃、京に進軍していたはずの夏八木が現れる。心強い味方の到着に千葉ちゃんはニコニコだったのだが……。

 とにかく男臭くて汗臭くて暑苦しくて重苦しい物語。まさに男汁濃縮還元100%の映画。なにしろ女優が出ていた記憶がない(岡田奈々とかが出ていたんですが)。2005年にリメイク(と言ってもストーリーは全然違うけれど)された『戦国自衛隊1549』と比較してみると、その男臭さがハッキリ分かる。と同時に、日本映画がどんどんハリウッド的な、よく言えば豪華絢爛なエンターテインメント、悪く言えば内容空疎なハッタリ映画に変質してきたことも分かります。

 このオリジナル版製作時には、反逆軍が女を犯しまくったりする描写なんかが気に食わんというわけで自衛隊の協力が一切得られなかったらしい(千葉真一とか夏八木勲とかが体験入隊しただけ)。随分とケツの穴の小さいことを、と思うけれど、この当時は、まだそんな居丈高な態度が許されていたんだねぇ。最近の自衛隊は宣伝、イメージアップに躍起で、いろんな映画に協力しまくりやもんな。『戦国自衛隊1549』では延べ150両以上の実車両や東富士演習場のオープンセットなど陸上自衛隊が全面協力、時代は変わったのだなと思わせますが、そんな装備やCGを駆使したところで、本作には到底かなわない出来というのが情けない。いくら戦車やなんかが全部レプリカでも、千葉ちゃん指揮によるアクションが本物なので、簡単に太刀打ちできるような作品には仕上がっておりません。さすが千葉真一芸能生活20周年記念作品、ジャパンアクションクラブ発足10周年記念作品。非情なラスト(これって『七人の侍』に似ているような……)に涙せよ! あ、1カットだけ登場の薬師丸ひろ子探しにも挑戦してみよう! あれを見たら「これが本当の桃太郎侍」と大笑いすること必至です(笑っていられないシチュエーションでの登場ですが)。ちなみに原作者の半村良は、イーデス・ハンソンのファンだったことから、こういうペンネームにしたそうです。豆知識でした。


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