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ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

怪獣大戦争

[監督]本多猪四郎 [出演]宝田明、ニック・アダムス、水野久美、土屋嘉男  1965年

我々は、未来に向かって脱出する……!

 木星13番目の新衛星Xの調査に向かった宝田とニック(声は納谷悟朗)は、高度な文明を有しながらキングギドラのために変なエレベータで地下に潜っているX星人と出会う。X星人は、「キングギドラ撃退のため、ゴジラとラドンを貸してちょんまげ。お礼に癌の特効薬をあげちゃう(大意)」とフレンドリーに申し出、ニコニコの地球人との交渉はアッサリ成立する。ゴジラとラドンはX星に宇宙旅行、X星人に操縦されて、キングギドラをこれまたアッサリ撃退するのだった。ところが、癌の特効薬のデータだと思っていたテープは、X星人の地球征服宣言で、お人よしの地球人はビックリ仰天。しかし時既に遅し、「ほんまは地球の水が欲しかったんじゃ! ぎょうさんあるんやさかい、ちょっとくらい分けたらんかい! 水や水、水よこさんかい!(大意)」とヤクザな正体を現したX星人は、借りパクしたゴジラ、ラドン、そして実は生きていたキングギドラを操って、地球全土を破壊しまくるのであった。どうする人類?

 ゴジラが「シェー」のポーズを取ったということだけで語られる作品だけれど(今時「シェー」なんて知ってる人いる?)、私は、昭和のゴジラシリーズの最高傑作であると断言しちゃうね。まず絶賛されるべきは、X星人のコスチュームデザイン。こんなにスマートでカッコいい宇宙人、どこを探してもいないぞ。アダムスキー金星人のデザインのパクリだという声もあるけれど(円盤は普通にアダムスキー型でしたね)、あれだけアレンジされてれば無問題。更に、水野久美が初めて現れる喫茶店(?)のセット美術の狂い方も素晴らしい(って書いておいて何なんだが、まさかロケじゃないよね?)。レトロフューチャー感あふれる美術(と言っても、当時としては精いっぱいの未来感覚だったんだろう)がそこかしこに見られ(デザインワークスとして小松崎茂も参加しているらしい)、とにかく見飽きることがない。「SFは絵だ」と言ったのは、宇宙軍大元帥にしてガチャピンのモデル野田昌宏だが、まったくそのとおり!の快作である。

 ただし、ストーリーに関しては、矛盾だらけの無茶苦茶なもので、お世辞にも褒められたものではない。とにかく、X星人の行動が謎すぎる。「世界教育社」というなんだか堅そうな会社を隠れ蓑にスパイ活動していたり、自分たちの弱点となるレディガード開発者に近付くものの何一つ有効な手を打たず、結果として破滅してしまうなど、頭が悪いにも程がある。X星人は、電子計算機によってすべての行動を決定されているらしいけれど、どんなプログラムを組んだら、ああいう計算をするのだろうか?余計なことをせずに、さっさとゴジラとラドンで攻め込めば、アッサリ大勝利だったのに、驚異的な科学力を持っていても、頭が悪けりゃ何にもならんのよ、ということを言いたかったのだろうか?愛という「計算外の」感情のために仲間を裏切ったり、この上なく間抜けな死に際に「我々は未来に向かって脱出する、まだ見ぬ未来に向かって……」などとイカス台詞を吐いたりと、意外にロマンティストなX星人に少し涙するのもよろしかろう。とにかく傑作。



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