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ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

濡れ髪牡丹

[監督]田中徳三 [出演]市川雷蔵、京マチ子  1961年

濡れ髪シリーズ第5弾!

 京マチ子は、3000人の子分を引きつれた超美人の女親分だが、婚活真っ最中。しかし、度胸と頭脳と腕っぷし自慢の子分たちを倒していかなきゃマチ子の元に辿り着けないという死亡遊戯方式の高すぎるハードルが設定してあって、まいっちんぐな今日この頃。そこへ新たなチャレンジャー「口も八丁、手も八丁」の八八の瓢太郎こと雷蔵が登場。剣道、柔道、鉄砲、弓、槍薙刀という武芸百般はもとより、料理、裁縫、算盤、生花、茶の湯、書道すべてが免許皆伝、おまけに経も読めれば忍術の心得もあるうえ、登場するときは、ハカイダーやタイガージョーばりに、余裕ぶっこいて口笛を吹いてくるというイカス奴(ただし、バクチは弱い)。マチ子版黄道十二宮を次々撃破、この男なら、と思われたが、マチ子のお色気攻撃にあっさりダウン、ハイそれまでヨ。しかし、実は元祖ツンデレのマチ子は、雷蔵を連れ戻そうと画策するのだった……。

 独立U局独特の狂った編成でお馴染み、KBS京都が放送していたのが『中島貞夫の邦画指定席』である。いまやタクシードライバー兼おみやさん兼9係の係長兼十津川警部とサスペンスドラマで大忙しの渡瀬恒彦が、ヅラ無用のキチガイ役者だった頃の名作『狂った野獣』ほか、東映でいろんな作品を撮りまくった中島貞夫が滑舌悪くホストを務める映画番組。いつも左肩にフケが乗ってるんだよ、スタッフの誰かが注意してやれよ、というわけで、解説部分はドーデモイイのだが、なにしろノーカット、CMも挟まないという、これ以上ない良心的な構成で、他所の局では絶対に流さない古い時代劇を紹介しまくっていたのである。これは、その番組で見た「濡れ髪」シリーズ(と言っても、それぞれに関連のない『濡れ髪剣法』『濡れ髪三度笠』『浮かれ三度笠』『濡れ髪喧嘩旅』、そして本作の5本)最終作。何度も言うけれど、市川雷蔵はコメディでこそ光る。むしろ、こっちが真骨頂。日本映画は暗いの湿っぽいだのと文句を垂れる人に是非見てもらいたい。雷蔵のコメディにハズレなんぞ一本もないんである。本作では、大女優、京マチ子が、これまたキュートに大活躍。

 それにしても、京マチ子って謎の女優だ。1953年ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞の『雨月物語』(溝口健二監督)、1951年ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞の『羅生門』(黒澤明監督)なんかに出てるかと思えば、『黒蜥蜴』ではお尻フリフリ踊りまくって爬虫類の位を授けまくり、テレビじゃ踊りまくって人殺し筮竹振って「お命、終わります」と人殺し(大阪松竹歌劇団出身ゆえのアクションが凄かった)の裏稼業。役を選んでないんじゃないかと心配になるほど、いろんな作品に出ている。歳のせいか(1924年生まれ)最近はとんと見かけないけれど、この人が出ている映画を追いかけてみるのも一興だと思う。押しも押されもしない大女優のはずなのに、こんなのに出ていいの? ってのがあるから。『穴』とかね。



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