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ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

多羅尾伴内

[監督]鈴木則文 [出演]小林旭、夏樹陽子、財津一郎、池部良  1978年

ちろぬぷかむい

 片岡千恵蔵のヒット・シリーズを小林旭でリメイクした快作。ストーリーは驚くほどしっかりしたミステリー(ここ非常に大事)なのだけれど、そんなことドーデモよくなるほどに濃いテイストが圧巻なのである。

 超満員の後楽園球場で、スター選手が逆転満塁サヨナラホームランをかっ飛ばした後、突然倒れる。たまたま現場に居合わせ、グラウンド内に堂々と入ってきた多羅尾伴内の示唆により、アイヌが熊狩りに使う猛毒を使った針による射殺であることが判明する。一方、医科大学理事長の池部良は、「チロヌプカムイ」と名乗る者から、殺人を止めたければ10億円払えという脅迫を受けていた。捜査依頼を藤村大造の代理で受けた多羅尾伴内であったが、アイドル歌手が公演中、「生き胴真っ二つ」にされるという事件が発生。おまけに池部良の息子、江木俊夫まで誘拐される。スター選手とアイドル歌手、そして江木俊夫の接点が、どうやら北海道にあることを突き止めた多羅尾伴内であったが……。

 タイトルバックの小林旭の主題歌(コテコテのド演歌)で、せっかくの都会的イメージが台無し。しかし、ここさえ乗り越えれば、後は面白すぎてノンストップ。出てくる俳優が、天津敏、成田三樹夫、安部徹、石橋雅史、中田博久、成瀬正と超豪華(まぁ、これを豪華と思えるかどうかは、人によるけれど)で、これだけでゲップが出そうなのに、キャバレーの雰囲気にまるで合わない歌(これまたコテコテのド演歌)を熱唱する八代亜紀とか、周りにお構いなく「ヒジョ〜に」連発で絶好調の財津一郎すら浮いて見えないのはどういうわけか(水野晴郎もちょっとだけ出てる)。片岡千恵蔵と違って、アクションも歌もOKな小林旭を主演に持ってきて、超一級の娯楽映画にしてしまった鈴木則文という監督は化物である。特に、ものすごい帽子と衣装で「昔の名前で出ています」を歌って、ギター片手に大立ち回りなんて、小林旭でしか成立しない名シーン。おまけにキャッツ・アイとかいう謎のアイドルや、何故か中途半端にカットされるアン・ルイスの歌も聞けるし、「美女(?)生き胴真っ二つ」をはじめ血まみれシーンも大奮発、エロが少々控えめね、ってところを除けば、さすが東映のザ・娯楽活劇で(あ、でも、小林旭は日活のスターだったな……)、もっともっと評価されていい名作なのだ。

 そして、何と言っても、夏樹陽子の美しさが、この世のものとは思えないのである。私は『ザ・ハングマン』のタミーが大好きだから言うわけじゃないが、あんな綺麗な女優、そうそういないぞ。あの美貌を堪能できるというだけで、この映画の値打ちはある(でも、こんな超絶美人に、あんな末路を辿らせるとは、つくづく酷い映画だ)。昔は、こんな映画もテレビで放送してくれたものだが(私はテレビで見た)、今じゃ絶対無理だろうから、一人でも多くの人にDVDを見てほしいね。DVDの特典映像で、『多羅尾伴内 三番打者怪死す』というタイトルの、本編では一切流れない映像で構成された特報も見られるぞ。



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