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ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

税務調査官・窓際太郎の事件簿

[出演]小林稔侍、麻生祐未、渡辺いっけい、北村総一朗  1998年~

東京国税局査察部、窓辺です

 世田谷南税務署の窓辺太郎(54歳独身)は、地元の商店街では評判がいいけれど、「窓際」「大仏顔」と言われるダメ職員。今日も地方の税務署へ研修に行かされ、そこでも若くて美人な職員にバカにされまくる。しかし、実は、地方で絶賛進行中の悪事を暴くために送り込まれた「影の調査官」なのだった! 窓辺は「こんな美味しいもの、母ちゃんにも食べさせたいなぁ、かあちゃあぁぁぁん!」と泣き叫んで地元料理に舌鼓を打ったり、夜道で山本リンダの曲に合わせて踊り狂ったり、襲われた協力者を見舞いに病院まで全力疾走したり(タクシーに乗れよ)しながら悪事の証拠をつかんでいく。      

 2時間サスペンスドラマも、すっかり下火になった。老舗の土曜ワイド劇場が2017年に終了してしまって、夜のレギュラー枠として残ったのは、TBSの月曜名作劇場だけ。まぁ、ドラマの質の低下も激しかったので、客が離れるのも仕方ないかとは思うのだけれど、寂しい話ではある。この窓際太郎は、その月曜名作劇場の看板番組。かと言って、サスペンスドラマとしての質が高いわけではない。地方に研修に行く → そこの税務署に若くて美人で正義感の強い女性職員(ヒロイン)がいる → ヒロインは窓辺をバカにするが、その実力を認めるようになる → 影の調査官ってのがバレて、一緒に調査する → 悪事の証拠をつかんで、窓辺は東京に戻る → 悪の元締(政治家)の事務所に査察に入る……いつも、この展開。殺人事件のトリックを暴くなんて展開は(主人公は税務調査官だから)当然ない。悪い奴は初めから分かっていて、どんでん返しなんてものも存在しない。最後の査察場面は黒のスーツにソフト帽、べらんめぇ口調で悪に迫るという見せ場があるのだけれど、大根役者・小林稔侍のオーバーアクトとも相まって、ぶっちゃけ、極めてマンガっぽい作りである。しかし、それがいいのだ。      

 サスペンスドラマというよりは、遠山の金さんなどの昔ながらの時代劇に近い。そんな単純な勧善懲悪ドラマを、こんな時代に放送するのが素晴らしい。「正義を貫く」という主人公のシンプルな姿勢が素晴らしい。「大人は子供の手本になれ」などのストレートなメッセージが素晴らしい。極めて良心的なエンタテインメントである。こういうドラマを無くしちゃいけないと思う。1998年から始まったシリーズも、これを書いている2018年時点で34作が製作され、まだ継続中。しかし、主演の小林は、もう77歳。牛乳瓶の底みたいなメガネかけて大奮闘の麻生祐未なんて55歳だぞ(トテモそうは見えんが)。北村総一朗(83歳)も体調が良くなさそうだし、そろそろ潮時かも知れん。全国規模の悪事が発生、過去のヒロイン総登場で窓辺に協力、そして巨悪が滅びる大団円というのを期待している。


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