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ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

仮面ライダースカル メッセージ for ダブル

[監督]田﨑竜太 [出演]吉川晃司、山本太郎、山本ひかる  2010年

俺は、自分の罪を数えたぜ

 1999年。鳴海探偵事務所は、山本太郎となかまたちによって運営されていた。今回の依頼は、風都の歌姫メリッサをストーカー蜘蛛男から守ること。シンバルキックかましゃイチコロでしょ、と思っていた吉川晃司だが、蜘蛛男は想像以上の化物だった。実は、これは風都最初のガイアメモリ犯罪だったのである。単身赴任で頑張る吉川は、事件の真相に迫るのだが……。

 まず言っておかなければならんのだが、こういうタイトルの(単体の)映画は、この世に存在しない。これは現役ライダーと前年の先輩ライダーとの共演が売りの「MOVIE大戦」シリーズの2作目、『仮面ライダー×仮面ライダー オーズ&ダブル feat.スカル MOVIE大戦CORE』の(先輩ライダーである)仮面ライダーWのパートにつけられたタイトルなのである。MOVIE大戦というのは、それぞれ何の関係もない現役パートと先輩パートが、最終パートで突然強引に合体させられるという無茶な企画のお祭り映画。だから、各パートの繋がり具合になんて目くじらを立てる気はないのだが、ここまでパートごとの出来不出来の差が大きいのは衝撃的。仮面ライダーオーズのパートが、もうどうしようもなくクソ。脚本は井上敏樹。テレビシリーズのメインライターじゃないから仕方ない、なんて言い訳は通用しない。とにかく酷い。こいつは出来不出来の差が激しい奴だからな。というわけで、オーズのパートは「なかったもの」として、これを書いているのである。 

 さて、本作は、鳴海壮吉が生きていた頃の話。完全に吉川晃司主演のハードボイルドであり、お子様が見て楽しめるのだろうかという懸念すら生じるほどの出来栄え。吉川晃司から「荘吉が亜樹子に死ぬまで会わなかった理由」と「お前の罪を数えろと言うようになった理由」を描くよう依頼があったらしいが、その解答として完璧な脚本を仕上げた三条陸は天才である。主演はドクロ顔のライダー、敵は蜘蛛男と蝙蝠女という具合に初代ライダーへのオマージュもバッチリ。テレビ第31話に出てきた鳴海壮吉の昔馴染みサムが出てきたり、巡査時代の刃野がいたり、細かいところでは少年時代の翔太郎の隣に幼馴染でテレビ第2話に出てきた津村真里奈がいたりなんてところも楽しめる。とにかく恐ろしいほどの完成度を誇る傑作。「子どもの映画だから」なんて食わず嫌いの大人たちに是非見ていただきたい。こんなにカッコいいハードボイルド映画、そうそうお目にかかれないぞ。未公開部分が復活したディレクターズカット版で見ることをオススメする。オーズの部分は無視することをお忘れなく。


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