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ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

冬木透BGMコレクション “ULTRA”GALLERY

[音楽]冬木透  1996年発売

サントラ史上最強最高のベスト盤

 等身大ヒーロー物の音楽を手がけた渡辺宙明、菊池俊輔とともに、変身ブームを生きた良い子達の音楽の好みを決定付けたウルトラ・シリーズの冬木透。その美麗で雄大でシンフォニックな響きは、エリザベト短期大学、国立音楽大学卒という経歴から来るものでしょうが、そんな人が子ども番組の音楽を担当していたことは、情操教育、音楽教育という点で、実に幸福なことだったと言えましょう。なのに、ゴジラシリーズの伊福部昭については、様々なコンピレーション・アルバムがあるのに、冬木作品のアルバムって、なかなか見当たらない……と思っていたら、こんなスグレモノのベスト盤がありました。

 冬木作品は『円谷プロBGMコレクション・リミテッドエディション 円谷プロダクション アーリーデイズ・クロニクル』という6枚組でも、いろいろと聞けますが、「アーリーデイズ」だけに、『ザ・ウルトラマン』、『ウルトラマン80』までフォローしてくれていないのが玉に瑕。いわゆる第3期ウルトラは、宮内國郎と冬木透というウルトラ・シリーズの音楽の二大巨匠が担当し、シリーズ初のステレオBGM及び海外録音という快挙を成し遂げているのに、単に4年だけ放送時期が離れているというだけで本当に不遇で、あの名盤『ウルトラマン・決戦ミュージックファイル』でもレオ止まりで収録されずという哀しい扱いを受けているのですが、変身ブーム真っ只中を生きてきた当方としては、やはり、80までで一区切りといった感が強いので、これまで何度も悔しい思いをしてきたのです(80以降も冬木は『ウルトラマンネオス』、『ウルトラマンコスモス』を手がけていますが、さすがに、ここまで時代が離れると思い入れもそんなになかったりする)。そんな不満も、このアルバムではスッキリ解消!科学警備隊のスクランブルテーマもワンダバUGMもバッチリ収録です。CD1枚に、ここまで見事に収録するなんて、構成の早川優は天才ではないでしょうか。

 ヒーローのテーマ、防衛チームのテーマが次から次へと流れてきて「あの曲が入ってないぞ」なんて全然感じさせない完璧な選曲、ベスト盤としては理想の仕上がり、究極の完成度を誇る逸品です。なにしろ「朝日に向かってジャンボフェニックス」のメロオケも雄々しい『ミラーマン』、暗い暗い曲で攻める『ファイヤーマン』のテーマまで漏れなく網羅しているんですから、テンションは上がりっぱなしです。中には『恐竜探検隊ボーンフリー』とか『妖術武芸帳』(『必殺仕掛人』に先駆けたマカロニウエスタン風の名曲!)なんてマニアックな曲も入っていますが、「こんな曲を入れるなら、もっと入れるべき曲があるだろう」なんて思わせないのが素晴らしい。サントラ史上最高最強と言っても過言ではない大名盤です。


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