本文へスキップ

ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

PIANO SOLO

THELONIOUS MONK  1954年録音 VOGUE原盤

バップの高僧、ピアノソロの決定版!

 ジャズ・ピアノの名盤紹介なら大抵、ビル・エバンスの『ワルツ・フォー・デビイ』とかオスカー・ピーターソンの『プリーズ・リクエスト』なんてトリオものを紹介するものなんですけどね。日本人はピアノ・トリオが大好きで、トリオものだけのガイド本なんかも出てたりして、下手するとトリオものしか聞かないなんて人もいそうな勢いなんですが、私、ピアノ・トリオって、そんなに好きじゃないんですよね。嫌ってるわけでもないんですけど、どれも同じに聞こえるんですよ。いや、もちろん、私も、それなりに何枚か持ってますけどね、いわゆるジャズ・ファンとしては、かなり少ないと思いますよ、ええ。

 というわけで、今回ご紹介するのは、ソロ・ピアノです。ソロ・ピアノってのは単調なものでして、なにしろ、ピアノの音しかしないんですからね(←当たり前)。一回目は「美しい……」なんて思っても、何回も聞ける代物じゃないんですよ。名盤の誉れ高きキース・ジャレット『ケルン・コンサート』しかり、ジョバンニ・ミラバッシ『アバンティ!』しかり。

で、このセロニアス・モンクという人は、かなり癖のある演奏をする人で、不協和音バリバリで、ソロにこそ、その真髄がある!なんて言われる人なんですが、それって単に下手?……まぁ、実際に演奏できない私は下手かどうかは判断できませんけどね。じゃあ、協調性がない?……しかし、ミュージシャンには人気が高いらしいんですよね。その演奏には、何か惹かれるものがあるのは確かです。

 で、そのモンクのソロ・アルバムですが、普通なら『セロニアス・ヒムセルフ』が紹介されます。大抵のガイド本は、そうです。しかし、断言してしまいますが、このヴォーグ盤の方が遥かにいいのです。モンクの最高傑作です。名曲「ラウンド・ミッドナイト」をはじめ、モンクのオリジナル曲ばっかり(1曲だけ違うけど)で独特の雰囲気を味わえます。同じソロでも『ヒムセルフ』は、スタンダードが主になっているので「やっぱり演奏、下手やん」とか思ってしまうし、あの演奏法は、自作の曲でこそ真価を発揮するものだと思います。それにね、暗いんですよ『ヒムセルフ』は。ヴォーグ盤が、なんとなく暖かい雰囲気を醸し出してるのとは大違いです。一番酷いのは、「ラウンド・ミッドナイト」のボーナス・トラック。延々何十分も演奏、失敗、やり直しってのを聞かされる。「天才が曲を組み立てていくさまが捉えられていて素晴らしい」とか言われてますが、そんなもんオタクしか喜ばんっちゅうねん。買っちゃダメよ、こんなの。

 ちなみに上の写真は輸入盤です。私が見つけた時とは違って、今なら国内盤も出てますんで、レコード屋に行ったら『ソロ・オン・ヴォーグ』というタイトルで探してみてね。


メニュー

  1. トップページ
  2. 特選名曲
  3. 特選名著
  4. 特選名画
  5. ヴァイブの殿堂
  6. PROFILE
  7. BLOG
  8. BBS
  9. LINK

おすすめ情報