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ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦 MEGAMAX オリジナルサウンドトラック

[音楽]鳴瀬シュウヘイ、中川幸太郎  2011年

ヒーローは名曲とともに

 仮面ライダーのBGMは菊池俊輔以外は認めん!というのが、世の良識あるファンの方々の共通認識である。て言うか、特撮ヒーローものの音楽というのは、菊池、渡辺宙明両御大の後、目立った動きがなく、このジャンルの衰退っぷりが分かるってなもんである。なにしろ今は安定路線のスーパー戦隊と、同じなのは冠だけの平成ライダーシリーズしかないもんなぁ。腕を振るう場所自体がないんやもんなぁ。

 で、その平成ライダーシリーズ(ちなみに昭和に分類されるBLACKからJまでは川村栄二が担当)の音楽だけれど、クウガ、アギトには平成ウルトラもスーパー戦隊も手掛けた佐橋俊彦が、その後は丸山和範&渡部チェル(龍騎)、松尾早人(555)、三宅一徳(剣)、蓜島邦明(カブト)、斉藤恒芳(キバ)と、特撮ものに馴染みの薄い人たちが起用された(響鬼、電王とヒーロー性の高いものに佐橋が再登板したのは、さすがと言うべきか)。これらの作品は全部見たけれど、正直言って印象に残っている曲がない。それは、特撮ものなのにキャラクターものじゃない(だからキャッチーな曲がない)という作り方のせいだろう。それに音楽制作がアギトまでの日本コロムビアからエイベックスに替わっちゃったのも大きいかしら。平成ライダーの方向性だから仕方ないと言えばそのとおりだけれど、やっぱりヒーローの活躍には燃えるBGMが欲しい(でなきゃ主題歌を流すだけでもいい)と思うのが人情ってもんでしょ。だから玩具以外、子供の人気を勝ち取れないのよ。まぁ、そんなシリーズも問題作ディケイドで一旦区切りがついて、ダブルで第二ステージに突入。音楽は、ディケイドで初登板した鳴瀬シュウヘイ(でも主題歌アレンジは結構やってて、作曲では平成一キャッチーな「Climax Jump」を書いている)と中川幸太郎(ガオレンジャーとボウケンジャーの劇伴経験あり)のコンビが続いて起用された。平成ライダー評論でお馴染み宇野常寛の評価は低くても、ヒーローものとしては正しい道を進んだと思えるダブルでは、なかなかにカッコいい曲が作られ、これが好評だったのか、中川はオーズ(ウィザードも)、鳴瀬はフォーゼも担当することになる。だからってシリーズとしての統一感みたいなものは全然ないのだが。

 というわけで、ダブル、オーズ、フォーゼ揃い踏みの劇場版では、テレビ版も担当した鳴瀬と中川の三度目のタッグとなったわけだが、いきなり流れる名曲「戦え!七人ライダー」のアレンジ・ヴァージョン「昭和ライダー大戦」(やっぱり菊池俊輔は偉大だ。こだわった坂本浩一監督も偉い!)からノリノリ、新曲の「仮面ライダーなでしこ」も楽しくカッコいい。もっとも、新曲が全部魅力的というわけではないし、テレビでおなじみの曲がいっぱい詰まった3作品のベスト盤としてはグーよ、というのが正直な評価。どうせなら、戦闘シーンで流れた主題歌TVサイズ3曲(オーズはウザい武部Pのせいで別ヴァージョンが流れた……オリジナルでやるべきだったと思うぞ)も入れてくれりゃ完璧だったのに、という不満もあったりする。でも、そろそろ、菊池、渡辺に続くオーソリティが現れてくれないと、このジャンルの音楽は寂れていく一方だ。当然、作品そのものが面白くなきゃ、音楽だって印象に残らないので、本当に頑張ってほしい。玩具開発にばっかり必死になるのはダメですぞ。


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