本文へスキップ

ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

STANDARDS OF EXCELLENCE

AL COHN  1984年録音 CONCORD原盤

寛ぎのスタンダード集

 上を向いてアル・コーン。……すみません、私が悪ぅございました、もう言いません。でも、相方のズート・シムズだって「ズートいいズート」なんて言われてるじゃありませんか。何も、私だけ責めなくても……。

 それでは、気を取り直して、アル・コーンというと、ズート・シムズと同じくレスター・ヤング系のテナー・サックス奏者で、先程も「相方」なんて言いましたが、ズートとの双頭コンボ(いわゆるアル&ズートって奴ですね)で多くのアルバムを発表、好評を得ており……なんて書いてますけど、実は私、アル&ズートのアルバムを聞いたことがないのです。ジャズ・ファン、ズート・シムズ・ファンにあるまじきことでしょうか。少なくとも胸を張って言うことじゃないかな。でも、別に特に嫌っているわけじゃないんですよ。

 そもそも双頭コンボって編成に、あんまり魅力を感じないんですね。うるさそう……、いや、同じ楽器を二人で吹いて何をしたいのかが、よく理解できないのです。これが、テナーとアルト、テナーとトランペット、テナーとトロンボーンとかっていうんなら話は分かるんですけどね。違う人の吹く同じ楽器を聞き分けるなんて器用な真似、できませんですよ(←威張ることではない)。

 それに、ズートのアルバムは、もぉそこそこの枚数を持っていますから、同じ金を使うなら違う人のアルバムを買おう、と思っているのです。一人の奏者をとことん聞くより、いろんな人のいろんな演奏を聞く方が面白いと思うんですよ。あれも、これも、って手を出す好奇心を持ち続けることが大切だと思うのですよ。世の中には、見たことも聞いたこともないものが溢れかえってるはずなんですよ。一生使っても味わうどころか、舐めることすらできないほどに。人生なんて短いんですから(寿命が延びてたって、「死んでない」ってだけでは仕方ないですよ)、未知の分野に手を出してみないとね。大体、同じ人の演奏ばっかり聞いてたら、いくら好きでも飽きるでしょ。でも、同じ傾向でも、違う奏者のアルバムは飽きないんですよねぇ、何故か。ここんとこ、ちょっと不思議ですね。何故なんでしょうね。一緒に吹かれたら聞き分けられないけれど、別々のアルバムなら違いが分かるってことですかね。

 というわけで、このアルバム、実に静かで美しく、ゆったり気分満点です。さすがコンコード・レーベル、こういう雰囲気のアルバム作らせたら天下無敵ですね。ギターにハーブ・エリスなんて通好みの人を連れてきて、渋くて落ち着いたスタンダード集になっております。キャッチーではないと言われれば、確かにそうかも知れませんが、ジャズを聞く喜びというのは、こういうアルバムにこそあるのではないかと思わせる一品です。なんというか、これだからテナーのワンホーンはやめられへんねん、という魅力に満ち溢れております。見かけたら、即購入して間違いなしですね。