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ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ウルトラ・クラシカル・コンパイル −ネオ・ロマンティシズム'66〜'74−

[音楽]宮内国郎、冬木透、日暮雅信  1996年発売

こんな曲があったからウルトラシリーズは素晴らしい

 『ウルトラマンレオ』までの第1期、第2期ウルトラシリーズから、クラシック・テイストで、シンフォニックでバラードなBGMを集めたアルバムです。もぉ、美しくて美しくてタマラナイ、そんなアルバムですよ。気取ってクラシックなんか聞いちゃって、結局寝てしまって、最後まで聞いたことがないような人(←俺や)、これをお聞きなさい。

 各番組の音楽を担当したのは上記の3人なんですが、これは冬木透のアルバムだと言ってしまっていいでしょう。ものすごく大雑把に言うと、宮内はジャズ、日暮は現代音楽、そして冬木はクラシック・テイストの曲に特徴があるわけで、ウルトラシリーズに感じられるスケールの大きさ、ある種の格調の高さは、冬木による音楽のおかげと言っても過言ではないでしょう。というわけですから、企画自体、冬木のために立てられたようなものです。さすが、エリザベート短期大学作曲科及び宗教音楽専攻科、国立音楽大学作曲科卒の正統派です。

 もちろん、各人それぞれに名曲があるので、他の2人の仕事を否定しているわけではないですよ。要は、番組に合ったBGMを作るのが「いい仕事」なんですから。そういう意味では、特に『ウルトラマンタロウ』と日暮はベスト・マッチングだったと思いますね。『タロウ』を冬木が担当していたら、あの独特の軽快さは出なかったでしょう。このアルバムでは、残念ながら、その特質は感じられませんが、実は、宮内の曲がすごいのです。基本的にはジャズの人である宮内ですが、このアルバムの1曲目に収められた、お星様キラキラといったイメージそのものの「宇宙(そら)のまたたき」や、チェンバロの響きが切なく迫る「春雨頌」、「早春譜」は最高です。冬木の独壇場とも言うべき本アルバムにおいて、冬木作品を差し置いて、アルバムを代表してしまっている名曲。くれぐれも、お聞き逃しのなきよう。

 さて、このアルバムに収録された冬木作品は『ウルトラセブン』『帰ってきたウルトラマン』『ウルトラマンA』、『ウルトラマンレオ』の4作品ですが、ウルトラシリーズでは、後に、『ザ・ウルトラマン』『ウルトラマン80』『ウルトラマンネオス』『ウルトラマンコスモス』も担当。これだけ多くの作品を担当し、更に『ミラーマン』『ファイヤーマン』にも楽曲を提供することで、円谷プロ作品群のBGMの方向性を決定付けた大功労者です。等身大変身ヒーローものの菊池俊輔、渡辺宙明と並んで、我々の世代の耳を肥やしまくってくれた恩人ですね。『帰ってきたウルトラマン』で初登場した「♪ワンダバ」コーラスの生みの親でもあります。平成ウルトラにも、その路線は受け継がれていて、矢野立美が担当した『ウルトラマンダイナ』でのワンダバの復活にマニアは狂喜乱舞したのでした。それにしても美しい音楽です。心が和む。これこそ「俺たちの」ヒーリング・ミュージックですよ。