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ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

必殺シリーズ・オリジナル・サウンドトラック全集10 必殺商売人/必殺からくり人富嶽百景殺し旅

[音楽]森田公一  1996年発売

江戸プロフェッショナルの仕事を彩る尺八の名調子

 キングレコードが出した「必殺シリーズ・オリジナル・サウンドトラック全集」から、必殺シリーズで唯一、森田公一が音楽を担当した作品をご紹介しましょう。必殺シリーズのBGMは、ずっと平尾昌晃が手がけてきたのですが、当時、畑中葉子とのデュエット「カナダからの手紙」がヒットして大忙しになり、新作の作曲にまで手が回らなかったらしいです。でも、畑中葉子の腰には手が回ったのね。それにしても、どこに行ったんでしょうねぇ、「後ろから前から」の畑中葉子。

 森田公一といえば、当時、既に歌謡界のヒットメーカーで、アグネス・チャン、天地真理、キャンディーズ等に楽曲を提供していました。和田アキ子の「あの鐘を鳴らすのはあなた」も、この人の作品です(いまだに紅白なんかで歌ってますが、1972年の作品です)。オタクの皆さんには、『ワイルド7』の主題歌でお馴染みですね。『商売人』の2年前には、「青春時代」が大ヒット、多忙だったことは推して知るべしで、平尾の代役を務めたものの、1作限り(作品としては、『商売人』と『富嶽百景殺し旅』の2作ですが、番組が変わるに当たって新曲が作られたわけではなく、まったく同じBGMを使っています)ということになったようです。そんな忙しい人に、何故オファーしたのかも謎ですね。

 まったくの余談ですが、私が高校の頃、この人の歌っている「青雲のうた」(日本香堂『青雲(せいうん)』CMソング)の替え歌を黒板に落書きしていたところ、それを屋上で歌って録音した奴がいて、あろうことか、つボイノリオのハイヤングKYOTOの音楽実技のコーナーに応募、なんと放送されてしまったということがありました。評価は最低でしたけどね。ゲストに来ていた姉ちゃん(誰か忘れたけど、有名な人でなかったことは間違いない)にイマイチとか言われて。つボイに言われるならまだしも、その週にたまたま来ていたゲスト(ゲストが来ると面白くなくなるのよ、あの番組は。つボイが好き勝手にしゃべる時間が減るから)に言われたのが腹立つ。関西ローカルネタですみません。

 さて、森田作曲のBGMは、これまで平尾が作り上げてきた必殺の音楽世界を見事に継承しており、シリーズの一本として、まったく違和感を覚えさせません。しかしながら、ちゃんと個性を打ち出しており、特に、かすれまくった尺八をフィーチャーした楽曲が印象的です。このあたり、さすがプロフェッショナルの手堅い仕事、といったところでしょうか。更に、主題歌「夢ん中」が傑作です。必殺史上ベスト10に必ず入る、人によってはベスト5にも入る名曲です。歌うは御大、小林旭。上手いかどうかは別として、味のある歌声を聞かせてくれますね。必殺シリーズでは珍しく、ドラマ終了のときにフェイド・インしてくるという使われ方をしており、印象的な一曲です。BGM同様、主題歌も流用されましたが、『商売人』では2番、『富嶽百景殺し旅』では1番が歌われてるという、ややこしいことになっています。


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