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ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ザ・ハングマン 燃える音楽簿

[音楽]若草恵  1998年発売

裏で吊して表にさらせ

 ハングマンとは、法の追及を巧みにかわす悪党達に怒りの制裁を加え、社会的に死に至らしめる死刑執行人である。顔を変え、指紋を消し、戸籍を抹消した人間達。得たものは、年俸4千万円。失ったもの、人並みの幸せ。しかし、許せぬ悪を見るとき、熱い血が全身を駆け巡り、悪に挑むとき、胸の鼓動は高鳴る。「俺達、生ける死人の名は、ザ・ハングマン」

 ……現代版仕置人を意図して作られた、安易といえば安易な企画の作品です。しかし、悪人を殺害せず、社会的に抹殺するという、ある意味で必殺シリーズより残酷なフォーマットが男心にグッときます(もっとも『必殺仕置人』では、そういうエグイこともやっていましたが)。

 音楽に関しては、若草恵による、明るく躍動感あふれるフュージョンサウンドが、都会的でスマートな印象を残しています。若草恵というと、オタクとしては『六神合体ゴッドマーズ』『重戦機エルガイム』が忘れがたいんですが、歌謡曲のアレンジャーとしての活躍が多いようで、あの研ナオコの「かもめはかもめ」の大層で大仰なアレンジも、この人の仕事だそうです。

 しかし、ハングマンの音楽では、何はなくとも第1作の主題歌「あ・れ・か・ら」(若草の仕事ではない)に尽きます。この1曲でドラマの成功は決定されたと言っても過言ではないでしょう。番組開始当初の、ハードでダークな雰囲気にピッタリの名曲です。もっとも、そんな雰囲気は、最初の主役である林隆三がいなくなって、黒沢年男がメインになる第1作後半以降、どんどん変わっていき、末期には主題歌も「ズンドコ節」だの「ありがたや節」だののアレンジ版をバックに踊りまくる兄ちゃんたちという訳の分からんものになり、かっこいいBGMだけが救いという有様でした。

 ドラマ的に最高傑作と信じるのは、脂ノリまくりの『Ⅱ』。シリアスとおふざけが絶妙で、テンションが上がりまくりです。もう、黒沢年男の魅力爆発。寺沢武一の『コブラ』を実写にしたら、あんなふうになるのではないかというカッコ良さ。あんなにイカス奴、テレビじゃそうそうお目にかかれないですぜ(最近ではすっかり変なおじさんと化していますが……)。同じく植木等も絶妙の存在感を見せてくれます。シリアスもコメディも抜群の、この二人こそ、ハングマンの世界を体現する役者だったと言えましょう。後にシリーズの顔となる名高達郎は、デジコン役で脇役をやっていたときは良かったんですが、軽さが足りなくてダメダメですね。佐藤浩市も『4』ではカッコ良かったんですが、『Ⅴ』ではへなへなになっちゃったし、別の役で出るとダメなんでしょうかね(もっとも、「闇に舞う蝶、パピヨン」山本陽子が凄すぎたということもありますが)。

 えっ、『京都マル秘指令 ザ新選組』?マイナーな番組をご存知ですね、あなた。そんなもん覚えてる人いませんよ。あの当時の京本政樹は、現代劇でもメイクは時代劇でしたからねぇ。すごかったなぁ、あの白塗り。鈴木その子か京本かってくらいでした。しかし、古谷一行という人は、亜流だのリメイクだのといった作品の主役を張ることが、ものすごく多い気がするなぁ。


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