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ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ROMANTIQUE 96

PIZZICATO FIVE  1995年

最高の安定感を誇る名盤

 今や偉大なるマンネリ(でも好き)、元祖「渋谷系」pizzicato five。ワールドワイドで評価が高く、『チャーリーズ・エンジェル』で「トゥイギー・トゥイギー~トゥイギー対ジェイムズ・ボンド~」が使われたり、『オースティン・パワーズ ゴールドメンバー』で「東京の合唱」が使われたりと、日本人として誠に誇らしいことです。

 アルバムも数多く、どれもこれも素晴らしい出来なのですが、その中でもコレを推すのは、別に私がひねくれているからとか反社会だからとかいうことでは全くなくて(本当です)、一番バランスが取れている気がするからです。もっとも、昔の曲、というより佐々木麻美子や田島貴男のボーカルが、あんまり好きではないということもあるのですが。また、後期にはどんどん先鋭化しすぎていってしまった感じもしますし。

 で、このアルバムの中にはヒット・シングルはありませんが(ちなみに、私の最愛のシングルは「ベイビィ・ポータブル・ロック」です)、ピチカート・ファイヴの持つ要素が全部散りばめられているといっても過言ではなく、例えば「ジェット機のハウス」には後年のアルバム『HAPPY END OF THE WORLD』の原型が聞こえるし、懐かしのプラスチックスの立花ハジメも参加しているし、私は「三月生まれ」だし、てなわけで、これ一枚で偉大なるマンネリの全ての要素が味わえ、真の意味でのベスト盤たり得ているのです。で、その一部ずつを極端にしたものが他のアルバムだと思えばいいわけですね。

 つまり、このアルバムは密度の高いお徳用盤としてオススメできるわけです。とにかく、それぞれの楽曲が素晴らしい出来栄えで、下手なベスト盤よりずっとイイです。いわゆるベスト盤である『TYO』だの『JPN』だのは編集方法が嫌いなんですよ。曲間を詰め詰めに詰めて、聞きにくいったらありゃしない。もう少し耳に優しく作ってほしかった。

 しかし、この時期の小西康陽はリミックスに精を出して、肝心のピチカートはエキスが薄まっている気がしてチト心配だなぁとか思っていたら、2000年度末をもって、あっさり解散してしまいました。でも、シングル「東京の合唱」では、松崎しげるを担ぎ出してセンスが健在であることを示していたし、21世紀最初で最後のアルバム『さ・え・らジャポン』は、松崎だけでなく、雪村いづみやデューク・エイセス、フランスからはクレモンティーヌまで引っ張り出してきて、期待して待っただけのことはあった、と思います。

 何よりも「渋谷系」なる音楽、そして、パッケージデザイン等を通じてポップでキュートでクールな世界を教えてくれて(これは信藤三雄の仕事も大きい)、私の生活を豊かにしてくれた偉大なるユニット、ピチカート・ファイヴに最大級の感謝を捧げたいと思います。アリガトウゴザイマシタ。マタネ。


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