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ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

大怪獣伝説 東宝特撮映画メインテーマ大全集

[音楽]伊福部昭、佐藤勝、眞鍋理一郎、宮内國郎ほか  2005年発売

通して聞くと催眠効果抜群の土俗的テーマ36連発

 ゴジラの足音、咆哮、そしてドシラ ドシラ ドシラソラシドシラ レドシ レドシ レドシラシドレドシ……で始まるゴジラ生誕50周年企画、1984年の復活ゴジラまでの東宝特撮映画作品のメインテーマを集めたコンピレーション盤。「大怪獣伝説」と銘打っているけれど、怪獣の出てこない作品も収録されているので、事実上「昭和東宝特撮」テーマ集になっております。とは言うものの、それぞれの作品を代表する曲というわけではないので、「あの曲が入ってないぞ!」とか「もっと良い曲があるじゃないか!」という欲求不満状態に陥ってしまうのが玉に瑕。CD1枚に収めようとすれば、タイトルテーマで統一するのが最も賢明な編集方法だったのだろうとは思うし、本作を入門編として聞いて、他のアルバムに手を出すというのが正しいマニアへの道筋と言ったところなのだろうけれど、マニアじゃない人にも特撮音楽の良さを知らしめようということなら、もっと工夫があっても良かったのではないか。というわけで、以下は私の勝手な意見をバンバン書いていくことにする。

 できるだけ多くの作品を紹介したいから一作品から一曲という方針は堅持するとして、そうなると「ゴジラの動機」とか「ラドン追撃せよ」とかいった有名曲が漏れるのは仕方ない。でも、敢えて紹介しなくてもいいと思われる作品もあるわけで、ゴジラシリーズで言えば、後期の作品で外せないのは『ゴジラ対ヘドラ』主題歌「かえせ!太陽を」と『ゴジラ対メカゴジラ』のメカゴジラのテーマだけじゃないでしょうか。前者はバッチリ収録されていますが、後者は妙にのどかなタイトルテーマと差し換えた方がグッと値打ちが上がったと思う。また、歌ものでは『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』の主題歌「怪獣マーチ」という水前寺清子ばりのモーレツな歌(歌っているのは佐々木利里)も入っていますが、聞いていると悲しくなってくる。歌ものは『ゴジラ・ボーカルコレクション』というマニア向けのアルバムに、石川進の「ゴジラマーチ」とか子門真人の「ゴジラとジェットジャガーでパンチ・パンチ・パンチ」とかが(何故かモスラ系の歌も一緒に)入っているので、そっちでフォローすればいいんじゃないかしら。『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』のメインタイトルは大阪万博のパビリオン「三菱未来館・日本の自然と日本人の夢」の音楽の流用で、これはなかなかの名曲なのだけれど、独立したアルバムとして一刻も早く新録されるべきだ。かつて『ゴジラ 東宝特撮映画音楽全集』という10枚組LPに収録されたことがあるけれどCDにはなっていないはずで、何故『伊福部昭の芸術』シリーズでラインナップされなかったのか不思議。あ、それと『メカゴジラの逆襲』のメインタイトルは『ゴジラ』のアレンジ違いなので収録しなくても良かったですね。

 ゴジラシリーズ以外では、やたら明るくて作品のカラーとは全然違う『マタンゴ』のタイトルテーマはなくてもいいかな。それと、35作品のタイトルテーマのうち20曲が伊福部昭の作品で、いささか単調なので、冨田勲の『ノストラダムスの大予言』、津島利章の『惑星大戦争』、平尾昌晃の『エスパイ』あたりも収録すればお腹いっぱい大満足のアルバムになったのにとオタクの私は思うのであります。


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