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ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

新創世紀

GODIEGO  1976年

ゴダイゴって、こんなバンドだったんだね

 水谷豊主演の『青春の殺人者』という映画がある。親にスナックを経営させてもらっている甘えた水谷が、付き合っているアバズレ原田美枝子と別れろと親に言われてプッツンきて両親殺害というお話。実際に起きた親殺し事件を基に作られた映画らしいのだけれど、母親役の市原悦子が、旦那が殺されているのを見て発狂、水谷を殺しに来るシーンだけが見ものの退屈な出来でした。ATGな感じが受けたのか無軌道な青春が良かったのか知らんが、だらだらした演出に水谷豊の妙な演技が鼻につく2時間超のキツイ作品で、こんなもんが1976年度キネマ旬報邦画ベストテン1位だというのが信じられん(ちなみに2位が『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小やけ』で5位が『犬神家の一族』)。監督は『青春の蹉跌』や『悪魔のようなあいつ』の脚本を書き、『太陽を盗んだ男』を撮る長谷川和彦。ショーケン、水谷、ジュリーを主演に暗くて辛気臭い路線ですな。監督したのはたった2本、でも、どっちも高評価(監督2作目の『太陽を盗んだ男』は1979年度キネマ旬報邦画ベストテン第2位。ちなみに1位は『復讐するは我にあり』『戦国自衛隊』『ルパン三世 カリオストロの城』もランク外)ってことで「次回作が見たい映画監督ナンバーワン」とか言われていたらしいが、これだけ見れば十分という気もする。で、初監督作品である『青春の殺人者』の音楽を担当したのがゴダイゴ。特に忘れがたい強い印象を残す「IF YOU ARE PASSING BY THAT WAY(想い出を君に託そう)」、「IT'S GOOD TO BE HOME AGAIN(憩いのひと時)」の2曲が収録されているのが本作である。

 本作は、ゴダイゴの1stアルバムである。とはいうものの、タケカワユキヒデのセカンドアルバムをミッキー吉野グループと一緒に作っていたところ、途中でゴダイゴを結成することになったのでゴダイゴ名義で発売されただけで、実質はソロアーティスト・タケカワユキヒデのアルバム(全曲タケカワ作曲)。というわけで、『海底超特急マリン・エクスプレス』主題歌や『ルパン三世』2ndシリーズ挿入歌「Lovin' You(Lucky)」、「Super Hero」でおなじみのトミー・スナイダーは未参加だったりする。

 ゴダイゴといえば『西遊記』『銀河鉄道999』や数多くのCMソング、挙句の果てには『HOUSE』やポートピア(1981年の神戸ポートアイランド博覧会ですよ、覚えてます?)と非常にキャッチーでポップなイメージがあるけれど、本作に収録された曲は随分と印象が違うのである。まぁ、もともとローリング・ストーンズウェザー・リポートを融合したブログレッシヴ・ロック・バンドを目指していたらしいので、これが本来の持ち味なのかも知れません(大森一樹の『オレンジロード急行』でもBGMとして数曲使われているらしい)。『青春の殺人者』に使われたA面の4曲(残る1曲は「SALAD GIRL(僕のサラダ・ガール)」で、先行シングル・カットされてカネボウ化粧品CMソングとして使われた)や、B面全部を使った「SUITE:GENESIS(組曲:新創世紀)」なんかを聞くとよく分かる。組曲の内容は、世界に1つしか国がなかった頃、その支配者である女王の息子達(Christo(キリスト)、Mahomet(マホメット)、Buddha(釈迦))が、非情な女王に反乱を始めるという話で、なんだそりゃ。しかも全部英語。でも実は大名盤だったりするので、「モンキー・マジック」や「ビューティフル・ネーム」しか知らない人に是非聞いていただきたい。


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