本文へスキップ

ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

THE COMPLETE SINGLES

石川優子  1986年発売

実力派しゃくれペリカン

 石川優子。私には懐かしい響きですが、あんまり知られていないかもしれないですね。引退して、アメリカだったかに行っちゃって、随分経ちますからね。最近の若い人は、その存在さえ知らないでしょうから、とにかく聞いてほしい。

 ヤマハのポプコン出身の実力派なんですよ。今では、その値打ちを知る人も少ないかも知れませんが、ヤマハポピュラーソングコンテストといえば、ヤマハ音楽振興会の主催で1969年から1986年まで行われたフォーク、ポップス、ロックの音楽コンテストで、「ニューミュージックの歌手で、ここに出ていない人を探すのが難しい」と言われるほどのものだったのです。谷山浩子八神純子渡辺真知子中島みゆき世良公則&ツイスト佐野元春長渕剛チャゲ&飛鳥クリスタルキングあみん辛島美登里と、錚々たるメンバーが、ここで各種の賞を受けてデビューしました。石川優子は入賞できませんでしたが、ここに出場して注目され、デビューしました。

 なにしろ、声がいい。良い曲も多い。なのに、「シンデレラ・サマー」と、まだサングラスが買えなくて、しょぼい瞳を人前にさらしてた頃のチャゲと歌った「ふたりの愛ランド」という、こっぱずかしい歌だけが有名(まぁ、両方ともJAL沖縄キャンペーンソングで大ヒットしたんですが)なのは非常に遺憾です。それだけじゃなくて、顔だって可愛いんである(ちょっと太めでしたが)。アイドル並の容姿とグラマラスな肢体がグラビア雑誌を飾っていたのです。更に、さわやかで明るい語り口で、ラジオマガジンの全国DJ人気投票で常に上位をキープしていました。売れる要素はすべて備えていたといって過言ではないのに、今は語られることも少ないのは何故?やっぱりシンガーソングライター(これも今や死語ですか)というのは、商業ベースでは中途半端な存在なのでしょうか。

 それとも、ばんばひろふみと「ばんばん・優子のグッドセンス・ナンセンス」なんて番組をやっていたという恥ずかしい実績のせいでしょうか。ちなみに、この番組は、面白はがきにはグッドセンス扇子、しょ〜もないはがきにはナンセンス扇子が当たるという、そのセンス自体がナンセンスみたいな番組でした。ちなみに、その前は、まだ、ただのDJで顔を世間にさらすという愚行を犯していなかった頃の兵藤ゆきの「ヤングテレホンQ&A」。タイトルコールの後で赤ちゃんの鳴き声が入って(これが、なかなか暗示的)、スティービー・ワンダーの「ISN'T SHE LOVELY」が流れるのね。で、相談内容は「生理が来ない……」特に夏休み明け頃はそんなんばっかり。よく考えてみれば、「ISN'T SHE LOVELY」って、赤ちゃんが生まれたって歌でしたっけ。

 

 それはともかく、石川優子。伸びやかかつ艶やかな声が、美しいメロディーに乗って、あなたの心に届きます。どの曲もいいですが、特に「涙のソリティア」と「誘惑のプレリュード」が私のオススメ。名曲ですよ。