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ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

キダ・タローのほんまにすべて

[音楽]キダ・タロー  2010年発売

浪速のモーツァルトを聞け!

 全国区で通用する、ということは、地域特有の「何か」が失われるということでもあります。「吉本新喜劇」が「ヨシモト」になって、特有の「濃度」を失ってしまったようなものでしょうか。全国の皆さん、あんなもんじゃなかったんですよ、往年の吉本新喜劇ってものは。花紀京、岡八郎、桑原和男、木村進……面白かったなぁ。ただギャグをかますだけではなくて、実に芸達者でした。我々、40歳以上の関西人は、そんなのにどっぷり浸かって成長したのです。関西人の体に染み付いた「吉本新喜劇」の濃度、その染み付きの度合いたるや、金曜ロードショーと宮崎アニメの癒着度なんかとは比べ物にならないのです。

 それはさておき、この2枚組みアルバムは、「浪花のモーツァルト」(……しかし、もし彼がモーツァルトより先に生まれていたならば、モーツァルトが「ウィーンのキダ・タロー」と呼ばれていたことだろう……)ことキダ・タロー(本名:木田太良)という関西限定で圧倒的な浸透度を誇る作曲家によるテレビ番組のテーマ曲だのCMソングだのを集めた究極の名盤。どの曲も覚えやすくて楽しくて、そして「吉本新喜劇」と同じ匂いをプンプン発散させて心地よいのです。

 実に2000曲以上を作った男と呼ばれているのですが、「関西ローカルのオッサン」と侮るなかれ、♪あ~らよ出前一丁、なんて曲は、後に大瀧詠一がカバーしたりしてて全国区ではないのか、とも思うし、高島忠夫と関西学院大学の同級生で、同じく同級生の藤岡琢也とはバンドを組んでたなんてすごい経歴もあるし、その業績は、数千曲を作った男と名高い山下毅雄に匹敵すると思う(マジで)

 けれど、絶対そんな立派な人物には見えない(まわりも「変なオッサン」としてしか扱ってない)あたりが実に関西テイスト。関西では、作曲家だろうが大学教授だろうが、タレント性があるものは何でも芸人として消費するのです。テレビに出てる時点で芸人とみなす、というのは、正しい姿勢だと思いますけどね。ちなみに、関西には他にも同じような扱いを受けている程一彦という人がいます。この人は料理人なんですけど、ポジションから言えば陳健一より上だと思うのよ、多分。まぁ、どうでもいいことですけれど。


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